プロローグ
1. 二度目の初陣
大東京都万代田区丸の内のO駅前交差点は高層ビルが立ち並びオフィス街でもあり絶えず人通りがあり賑わっている。
その交差点角には四菱UFJ銀行があるが今日はいつもと違い銀行に面した通りに人通りはなく、その反対側に多くの人だかりができている。
その人だかりにはカメラやマイクを持った報道関係の人達が多数いて、他の人達もスマホやカメラで銀行を撮影している。
銀行へ行く横断歩道や面した通りには規制線がはられ警察官が銀行へ行こうとする人達を制しながら物々しく方々に立っている。
銀行の入り口では数名の男女が意識はあるが身動きが取れず接着剤でも塗られたかのようにお互いがくっつきあっている状態で、その中には二人ほど警察官もいて不可思議な様を呈している。
銀行の中はカーテンがあって見えないが何が起こっているのかを知る者、知りたい者の声が人垣の中から聞こえてくる。
「なになに?銀行で何が起こってるの?」
「あたし見た、動物のマスク被った二人が入いるとこ」
「銀行強盗だな」
「また変な能力使う奴らだよね」
「警察はまだ誰も捕まえてないのよね?」
「早く捕まえてくれよ!」
ここ1ヶ月ほど前から起こっている不可思議な力を使う者達による事件が相次いでいて、警察も対応を急いでいた。
矢庭に一人の野次馬がある方向を指さして叫んだ。
「おいっあれ見ろよ」
それを見て報道人の一人が
「おっ、ようやくお出ましか、新特殊部隊サクト」
「この事件、サクッと解決してくれよ」
銀行に面した道路の反対車線に黒塗りで明らかに特殊な車両と分かる車が止まった。
その車両の横にはS.A.C.T(Special Attack Countermeasure Team)と書かれている。
昨今の不可思議な事件に対処するため警察が新たな特殊部隊を作ったとつい先日発表したばかりで、報道関係者や一部の一般市民の中でいつ出動するか嘱目されている所だった。
S.A.C.T(以下サクト)はこれが初出動でありその動向を現場周辺の人達は固唾を呑んで見守っている。
その車内では顔が見えないようシールド付きジェットヘルメットを被り全身黒ずくめで軽武装した5人が、車内の両端にある長椅子に、右に3人、左に2人座っている。
左のうちの一人は女性のようだ。
何故か5人はローブで繋がれている。
その5人の中の一人が徐に声を発した。
「さぁ、いよいよ本番だぞ。先日行った模擬訓練通り行えば逮捕は確実だ。犯人が出て来たら行動を開始する。」と隊長らしき人物が言い終えると一
「ハイッ!」と他の4人が同時に声を発した。
隊長らしき人は隣に座っていた女性に話しかけた。
「柏木さん、何か少しでも異変を感じたら即座に知らせてください。あなたや私の部下達に危険が及ばないためです。くれぐれも宜しくお願いします。」
「はい、分かりました。」
そう答えたのは柏木雪乃(十六)この物語の主人公である。
雪乃は思い出していた──
不可思議な能力を持つ者達が現れ始める前に起きた出来事を──。




