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呂布が行く  作者: あひるさん
第2章

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第9話 涼州軍②

ご覧頂きましてありがとうございます。

ご意見・ご感想を頂ければ幸いです。

差し支え無ければ誤字・脱字の指摘もお願い致します。

 函谷関へ向かった魏続は同地に到着すると状況が特段変わりない事を確認した。門の入口には兵士が詰めており通行する者に対して普段通り職務に励んでいる様子だった。


「羽林軍の兵士長でしたか」


 魏続は羽林軍の校尉だが馬鹿正直に身分を明かすと警戒されかねないので兵士長の身分証を持参していた(偽造ではない)。


「休暇を貰ったので旅に出ている」


 目を付けられないように休暇を取った理由も物見遊山の旅行にしているので役人からすれば単なる物好きに見えていた。


「俺が旅に出る前に涼州軍が現れたぞ」


 魏続はそれとなく西涼軍の話を持ち出した。函谷関を通過していなければ直ぐに北上して長江流域を調べる必要があったので早々に答えを知りたかった。


「私も関所を通過するのを見ましたよ。数は一万程度だったはず」


 答えを聞いた魏続はそれくらいの数だったと相槌を打ちつつ函谷関を通っていた事が証明されたので内心ホッとしていた。魏続は与太話に付き合ってもらったお礼だと兵士に金を渡して函谷関から東へ引き返した。


*****


 魏越は涼州軍の駐屯地を迂回しながら西へ向かった。すると新たな駐屯地が視界に入ったので夜になるのを待ってから近づいた。


「見たところ涼州軍の駐屯地のようだが…」


 駐屯地には食糧を保管しているような場所は見当たらず兵士も百名程度しか居なかった。魏越は疑問に思ったので少し離れた所にある山から監視を続ける事にした。次の日の朝早くに荷物を担いだ数百人の集団が現れて駐屯地に入るのを目撃した。集団は農民ばかりだったので魏越は首を傾げた。しかし次々と荷物を抱えた農民の集団が現れるので或る事が頭に浮かんだ。


「まさかとは思うが…」


 日が暮れてから再び駐屯地に近づくと内部は涼州軍の兵士でごった返していた。農民の姿をしていたのは涼州軍兵士だった。洛陽郊外の駐屯地を夜の間に抜け出してこの駐屯地に入り、武装した上で一晩休息を取って夜明けと共に郊外の駐屯地に増援部隊のフリをして戻っていた。


「一万の軍勢を数万の大軍に見せかける偽装工作をするとは…」


*****


 魏越と魏続が情報を持ち帰った事を受けて丁原は関係者を羽林軍の屯所に集めた。最初に魏越から涼州軍が行った偽装工作について、次に魏続から函谷関を通過した涼州軍の総数についてそれぞれ報告された。


「董卓が何らかの意図を持って偽装工作を行っているのが明らかになった」


 丁原は暈した言い方をしたが、董卓がどのような意図を持って洛陽に現れたのかについては自分なりの答えを既に見出していた。


「端的に言えば軍事力を背景にして朝廷での影響力を確保するのが狙いでしょう」


 郭図が代弁するように推論を披露した。手始めに河南尹の地位を要求して洛陽の守りを受け持って帝と何進の信頼を得る。次に丁原・王允・盧植などの高官を賄賂や色仕掛けを用いて籠絡した上で排除する。その際に混乱しているであろう幷州軍は涼州軍が吸収して自身の手駒にする。最終的には軍事力を背景に何進から丞相の地位を強奪して帝を自身の意のままに操って裏から支配するというものである。


「郭図、董卓が帝位を狙っていると思うか?」


「帝が意のままにならなければ強硬手段に出る事もあり得ると思います」


 呂布の質問に対して何ら躊躇する事なく郭図は答えたが、それを聞いた羽林軍関係者は動揺してざわついた。


「董卓が帝位簒奪を含めた権力掌握を意図して洛陽に現れたとするなら帝の地位を脅かす謀反人になります。法に則って考えるならば国家騒乱に該当するでしょう。その刑罰としては死刑以外ありません」


 羽林軍で事務方の責任者を務める鐘繇は法律関係に強く朝廷に収められている古文書などを読み漁っているので過去の判例も大半を把握しているので即座に董卓の罪状について判断を下していた。涼州で好き勝手に法を運用して道理を捻じ曲げている董卓が洛陽で同じ事をすれば国全体が大混乱に陥るのは明らかで鐘繇からすれば許し難いものであった。


「丞相が董卓に出頭を命じて指示に従えば様子見、従わなければ戦になるか…」


 丁原にしてみれば頭の痛い話である。執金吾を半年から一年程度勤め上げれば洛陽の状況も落ち着くのでそれを見計らって役目を返上して本来の役目である幷州刺史を全うする為に帰国するという計画を立てていた。董卓の出現でそれが御破算になるだけでなく、洛陽を発端にして国全体に不安が拡がり黄巾賊のような集団が現れるのではという不安を抱いた。


「ご安心下さい。仮に涼州軍と戦になったとしても羽林軍単独で十分対応可能です」


 噂されていた五万から十万の大軍を本当に率いていれば対応は困難を極めていたが、実際は一万を少し上回る程度である。郭図は呂布と高順を前面に押し出して戦えば難なく蹴散らす事が出来ると考えていた。また魏越と魏続で本営を固めて張遼が別働隊を率いて涼州軍の背後や側面を突いて董卓を消す事も視野に入れていた。

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