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呂布が行く  作者: あひるさん
第1章

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第6話 十常侍の乱③

ご覧頂きましてありがとうございます。

ご意見・ご感想を頂ければ幸いです。

差し支え無ければ誤字・脱字の指摘もお願い致します。

 禁門から宮中に入った何進一行は宮殿前に到着した。何進が馬車から降りて宮殿に入ろうと歩き出した時、内部から趙忠以下数名の宦官と近衛兵が出て来た。


「大将軍何進、帝の後継問題で宮中を乱した罪で誅殺する」


「貴様らこそ長幼之序を弁えず宮中を乱しているではないか!」


「だ、黙れ!」


「宦官共に好き勝手されてたまるか」


「お前たち何をしている?相手は丸腰だ。さっさと殺ってしまえ!」


 趙忠が指示を出すと近衛兵が剣を抜いてじわじわと何進に近付き始めた。何進は慌てて呂布の背後に回り込むと頭を抱えて怯え始めた。


「呂布、助けてくれ!こんな所で死にたくない」


「俺の言う事を聞けば助けてやる」


「何でも聞くから助けてくれ!」


「ここから一歩も動くな。俺が言いたいのはそれだけだ」


「わ、分かった」


 呂布は馬車に乗り込むと何進が座っていた椅子を力任せに取り外した。そこには剣や弓が隠されており、呂布はそれを次々に放り投げて護衛兵に拾わせた。その間に魏続も二台目の馬車に飛び乗って底板を外して隠していた武器を外に放り出した。


「呂布、どういう事だ?」


「事情は後で幾らでも説明してやる。ここでじっとしていろ!」


「わ、分かった」


「魏続、後は任せるぞ!」


「承知」


 呂布は剣を鞘から抜くと馬車に近付く近衛兵の前に仁王立ちしてその左右には剣を構えた十数名の并州兵が並んでいた。


「貴様ら宮中で武器を抜くのは」


「近衛兵も武器を抜くのはご法度じゃないのか?」


「何だと!」


「近衛兵は帝の命に危険が迫っている時は場所を問わず武器を抜いて構わない。今は帝が崩御して不在だ。この時に宮中で武器を抜くのは近衛兵であろうがご法度だと思わなかったか?」


「だ、黙れ!お前たち何をしているのだ!早く殺れ!」


 痛い所を付かれて青褪めた表情になっている趙忠は近衛兵に対して喚きたてる様に攻撃の指示を出した。呂布が言った正論に動揺した近衛兵だが、趙忠の命令に背くわけにいかず歩を進めた。


「連中の生死は問わん。大将軍に害が及ばないようにだけ気を付けろ」


「「応!」」


「掛かれ!」


 呂布の号令と共に護衛兵に扮していた焔陣営が応戦を始めた。呂布は馬車の前で状況を確認しつつ弓を使って近付いてくる近衛兵を射殺した。前世で戦いの度に自ら先頭に立ち突出して痛い目に遭った経験と郭図から事前に注意を受けていた事もあり、自ら前に出るような真似をせず指揮と援護に専念した。


*****


 高順は焔陣営を率いて洛陽に入り宮城を目指した。正門や各所で都度停止させられて警備兵から理由を尋ねられたが、何進の護衛に付いている呂布が体調不良を起こしたので交代を指示されたと述べてやり過ごした。


「将軍、禁門内部が騒がしいようです」


「呂布が暴れ出したか」


「それでは禁門が開き次第内部に…」


「ん?物事は思った通りに進まんのが常だな」


 高順率いる焔陣営は禁門を目の前にして近衛兵の一隊に道を塞がれていた。武器を抜こうとする兵士を鎮めると馬から降りて近衛兵に近付いた。


「御役目ご苦労。我は并州軍の高順。何進大将軍の護衛に就く為に宮中に向かわせてもらう」


「そのような話は聞いていない」


「これを見よ」


 高順は対応に当たる兵士に書き付けを渡した。それには呂布が体調不良を起こしたので至急交代するようにという内容が書かれており、何進の名前と大将軍の印が押されていた。


「これは認められん」


「理由は?」


「何進は宮中を乱した罪で大将軍を解任され、死罪になった」


「誰が決めたのだ?」


「張譲様だ」


「話にならんな」


「大将軍を解任出来るのは帝と丞相のみ。帝は崩御され不在、丞相は空席の現状で解任されるのは不当。張譲とやらの越権行為だな」


「それはお前たちの都合だ」


「勝手にほざいていろ。正当な手続きを踏んでいない貴様らは賊軍と同じだ」


「何っ!?」


「焔陣営、これより宮中に罷り通る!」


 高順は唖然とする近衛兵に対して賊軍討伐を宣言すると手に持った槍でその兵士を払い除けた。それを合図にして焔陣営は近衛兵に襲い掛かった。儀礼中心で戦闘経験が少ない近衛兵では戦闘経験が豊富である焔陣営の相手にはならなかった。近衛兵が対応出来たのは一瞬であっという間に蹴散らされた。


「郭図、終わったぞ!」


「高順将軍、お待ちしておりました」


「早く開けてくれ」


「承知致しました」


 高順の呼び掛けに応じた郭図が禁門を開放して焔陣営を宮中に引き込んだ。仲間の救援に向かうべく喚声を上げて突入した焔陣営だったが、内部の状況を見てその場で立ち止まった。


「さすが呂布と言ったところだな」


「呂布殿の力を過小評価していたわけではないのですが…」


「彼奴が本気を出せばあのような結果になるのも当然だ」


「自分の目が節穴だったと改めて自覚しました」


 高順や郭図の視線の先には唖然とした表情でへたり込んでいる何進、それを呆れた様子で見下ろす呂布、粛々と後処理を行っている焔陣営の姿があった。その周辺には近衛兵と十常侍であった宦官の死体が散乱していた。

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