彗星
日が沈んで空が黒みを帯びてきたころ、街の大通りに大勢の巨人が出てきていた。特に組織的な集団というわけではなく、皆思い思いに近所の建物から出ては空を見上げている。
そういえば、あの伝言から地球時間でそろそろ一週間が経過しようとしている。確か、近いうちに小惑星がニアピンするという話だ。
とはいえこの連星系の外縁をかする程度なので大した被害はないと思うが、この距離の場合小惑星から欠片が分離するとなかなか面倒なことになる。
そうして黄みを帯びた群青色の空を見上げてみると、見事な青い尾を放ちながら太陽へ飛び込む彗星が見えた。
「なるみ、て、あわせて」
背後の玄関からルイジュがぬるりと現れ、「いただきます」と言わんばかりに両手を合わせる。
「ギンプはめずらしいもの、なにかはしらない、でも、きっといいもの」
彗星のことをギンプというらしい。あの樹と似たような響きだが、おそらく神聖視されるものはこういう名前になるんだろう。
そのギンプを見上げながら、胸元で手を合わせる。あたりを見れば、同じようにしている巨人がちらほらと見える。
しかしギンプの軌道はやはり随分と近いようで、尾の光が少々リージュ、もといプラズマ環に引っ張られているように見える。
そう思っていたのもつかの間、ギンプが赤く強烈に輝き、青い尾を残して爆発した。
「ギンプ…しんだ?」
「空球の大気圏に激突したんですよ。あちらはきっと綺麗な流れ星が見えますよ。」
プチパニック状態になっているルイジュをなだめるように、右後ろを移動しながらアストラが解説を始めた。
しばし観察していると、空球の反対側から二つの赤い光が現れた。ギンプの欠片が空球の外縁を回って出てきたのだ。
「こちらに来ますね、もしかしたら隕石として落下する可能性があります。」
片方の欠片は他のどれよりも赤く輝き、あからさまにこちらに飛んできている。
「スイングバイしたエネルギーがそのままこっちに来るのか、そりゃヤバいな。」
「この様子なら三十分以内にこの周辺に落下します。エネルギー自体はかなり相殺されると思いますが、隕石である以上侮れません。」
「どちらにせよ、逃げるにも非現実的な時間だな。地理的にここで待機しているのが一番安全そうだ。」
異星における遭難に次いで度重なる命の危機。こう聞いてもミラクルすぎて全く実感が湧かない。隕石なんて一大事のはずなのに。
「何があってもいいように、荷物の整理をしておきましょう。ルイジュさんは他の皆さんに伝えてください。」
「うん」
書き溜めた分はここまでになります。ここからは一時的に連載の中断をすることになってしまいますが、今後も小説を作り続けられるように精進します。




