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第2話 困った! ココはナーロッパ世界

ロボを造るにも、基礎技術が無さすぎる。ワイ、どうする?

作者からのお知らせ(ピンポーン)

 このお話は、拙作「ごーれむ君の旅路」の外伝です。

 ごーれむ君は如何にして造られたのか?

 内輪ネタや本編のネタばらしもありますので、本編と並行してご笑読ください。


**********


 ロボを造る! と意気込んだのはエエんやけんど、さて困った。

 ココは異世界。いわゆるナーロッパ(笑)。

 その中でも犬頭族(コボルト)は弱小。コボルト国といっても大多数の国民(こぼると)は竪穴式住居に棲んでいる。農耕がようやく始まった、弥生時代最初期みたいな文明では、土器を作るのがせいぜいや。核融合炉はおろか、ガソリンエンジンすら夢のまた夢。ロボを造ろうにも技術(テクノロジー)が無さすぎる。

 ・・・さて、どうしたもんかなぁ?


**********


 無い物を嘆いていてもしゃあない。

 ワイは技術者、無い物は生み出せばエエんや!

 幸い、ワイには土魔法に適正があった。コレを使わん手は無いでぇ!

 という訳で、今回はワイと土魔法についてのお話や。

 …土魔法っちゅうのは、文字通り“土”とか“地面”に関わる魔法やな。生まれ変わったこの世界には、前世と(ちご)おて“魔法”っちゅうモンがあった。

 この魔法、要は異次元から漏れ出る不思議エネルギーや。その不思議エネルギーが“魔素”っちゅう形態(カタチ)でこの世界に漂っとる。

 この魔素を熱やら光やらの物理的エネルギーに変換する(すべ)、コレがこの世界でいうトコの“魔法”、らしいんや。知らんけど。


**********


 で、土魔法。最初は“土いじり”とバカにしておったけど、意外な使い道があったんや。

 土魔法には、土の中の成分を自由に抽出したり、化合分解したり、濃縮圧縮する事ができたんや。熟練すればするほど、その精度は上ってゆくのは他系統の魔法と同じやな。

 それまで土魔法は単に穴掘る位しか使い道がないと思われていた。(元素とか化学の知識が無いさかい無理ないわな。)

 この“素材を加工する”性質に、ワイは土魔法の輝かしい未来を見たんや!


**********


 ワイが土魔法を本格的に使うようになったんは、まだガキの頃やった。ガキっちゅうても前世の記憶はあったから、可愛げはなかったと思うけど。

 土魔法で生み出したのは、セラミック。材料はそこら中にある土、そこに含まれるケイ素と炭素。これで炭化ケイ素を精製して純度と密度を上げれるだけ上げれば、セラミック板の出来上がりや。

 当時のコボルトの道具は石を磨いて作った磨製石器。ワイの親父や兄貴達はコレで石斧とか石槍なんかを作っとんたんや。

 そこにワイ、登場! 強化セラミック製の穂先は石のソレとは比べモンにならんキレ味を発揮、弱小人型生物(ザコノイド)やったコボルトは新たな牙を手に入れたんや。


**********


 狩りの成功率が上がれば、集落全体の食糧事情も良くなる。魔物に襲われた時のケガも軽くなれば、戦力の減少も抑えられる。セラミック製の武器やら防具やらで、ワイの集落(むら)の生存率は劇的に上がった。

 でもソレはすぐに限界を迎えた。なんせワイ独りで全部作らなイカン。村人全員の装備を整えようとすれば、あっと言う間に魔力切れを起こして倒れてしまう。

 …異世界でもワンオペは無理やったんや。


**********


 一人で出来ないなら、皆でやれば良いじゃん。

 ソコで登場、魔道具! (異世界お約束やな。)

 変異種で、魔力適性マシマシのワイなら素で出来ることも、普通種(のーまる)同族(コボルト)ではとてもマネできん。皆が皆土魔法に適正がある訳ないからな。

 そこで魔道具ですよ! (コア)になる宝石(ばいたい)に簡単な回路(サーキット)を描いて魔力を流すとあら不思議?! 土魔法適正が無いコボルトでもセラミック板を精製することが出来たのですよ!

 もちろんワイが作るより効率は悪い。精製できるセラミック板の質も一段落ちる。でもね奥さん! 質が足りなきゃ量で補えば良いんですよ!

 ネット小説で魔道具という概念を知っていたワイ、大勝利!


**********


 こうして、ワイの集落(むら)は少しずつ大きゅうなっていった。

 人口密度が上がると危険(トラブル)も増えるけど、分業による生産力の向上は等比級数的に膨れ上がって。

 いつしか、武器や防具だけでなく、セラミック製の道具は鋸や包丁といった非戦闘用分野にも普及して。ソレ等は生産効率の更なる上昇と近隣同族を呼び込むことになって行って。

 で、ワイは王様やるハメになった。(どうしてこうなった?)


**********


 近隣の同族(コボルト)を統合し、敵対する他種族(にんげん)と競り勝ち、脅威(まもの)を駆逐していった結果、ワイの集落(むら)はこの辺でブイブイ言うイキリ集団にまで成長したんや。もう部族とか、豪族レベルやな。

 ワイ、そんなイキリ集団の(トップ)を張るハメになってもた。普通はこうゆうの、腕っぷしの強い乱暴者がやるモンなんやけどなぁ。

「ナニ言うてんのや。(かしら)がおらんかったらワテら(コボルト)は纏まらんわ。」

 ワイの愚痴が聞こえたんか、仲間(ぶか)の一人が呆れた様に言う。

「せやせや。火球杖(ほのおのつえ)が無かったら、ワテら(コボルト)はこんなに大きゅうなれへんかったわ。」

 もう一人の仲間(ぶか)も追い打ちをかけてくる。“火球(ファイヤーボール)(・ロッド)”ちゅうんは文字通り小さい火球(メラ)を打ち出す魔道具や。

 武器や防具だけでは、体格で劣る弱小人型生物(ザコノイド)なコボルトが生き残るんは難しい。ソコでワイは“飛び道具”を造ったんや。勿論、土魔法で。

 異世界アイテムとしてはベタベタな代物やけど、これでコボルトはデカイ敵相手(まもの)にも何とか互角に戦えるようになったんや。

 

【本日の技術史的マイルストーン】

・魔道具(土魔法発動)

 (コア)になる宝石(ばいたい)に簡単な回路(サーキット)が描かれている。使用者が魔力を込めると土魔法が発動。描かれた回路(サーキット)により様々なセラミックを生み出す。

 土魔法の適性が無い(コボルト)でも土魔法が使える様になった。

・火球杖

 いわゆる“ほのおのつえ”(笑)。小さな火球(メラ)を打ち出す。

 魔道具の火魔法版。

 (コア)内部で使用者の魔力を圧縮、増幅して火球に変換、射出する。

 弱小コボルトの戦力を飛躍的上げた戦争史的なマイルストーン。

 技術史的には火魔法に適性が無い者だけでなく、魔力適性が低い者も魔法が使える様になったことがマイルストーン。


(つづく)

 (C) 2025 れっさー  All Rights Reserved.

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