表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/44

28話

 ヴァイオリンを何挺も持つことは珍しいことではない。音が違うため、気分や作曲家によって変更したいというのは、一応ある程度は弾けるリシャールにもわかる。


「なるほど。普段使い用のものが欲しいってことだね。好みはあるかい?」


 店内に流れる空気。ここにあるヴァイオリンは全て極上のもの。どれもこれもオーロールには甲乙つけがたい、が。


「そうだねー。オールドでバロック・ヴァイオリン……がいいかなー」


「オールド? なぜ?」


 その意図がリシャールには読めない。はっきりと言ってモダンというものは、より弾きやすくよりいい音を。そのために無駄を削ぎ落とした形。改善改良の粋。


 しかしこの少女は。あえて茨の道を選ぼうという。もちろん音質に違いがあり、好みはある。そこを否定するつもりはない。だが、今の時代には圧倒的に少数。


 適当にひとつ、目についた棚のヴァイオリンに近づくオーロール。ガラス越しに眺めながら丁寧に吟味。


「『シュライバー』はすでにモダンに修繕されてるからね。違いがあったほうが面白い。オールドのバロックヴァイオリン。ある?」


 ヴァイオリンという楽器は非常にややこしい分け方ができる。まず『オールド』と『モダン』、そして『コンテンポラリー』。これは時代を表している。


 オールドは一七世紀から一九世紀以前のもの。この時期は交通などがまだ整備されておらず、ヴァイオリンの形などの情報も錯綜しており、地域によって多少の個性がある。モダンは一九世紀初期から二〇世紀初期、コンテンポラリーは中期以降のものとなる。


 そしてさらに『バロック』と『モダン』という分け方も存在する。これはヴァイオリンの性能に関するもの。


 ヴァイオリンは誕生からほぼ形が変わらずに時代を流れていてきているが、一九世紀ごろに指を乗せる板を長くしたことと、駒の高さを高くして張力を増したという変化がある。これにより音量と輝きが増した。これが『モダン』。それ以前の改良前を『バロック』。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ