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26話

 経年により変化して様々な色合いのヴァイオリンに囲まれたその場。そういえば、とオーロールは閃く。


「白は何百種類もあるって言うもんね。黒も赤も青も。でも白はちょっとわかんないかなー」


「それは仕方ない。白というのはどうしても、ビビッドな色を和らげてたり、他の色のためにあるという役割に思う人も多いからね。いわゆる『とても重要な引き立て役』といったところか。だが、彼の場合は違う。『いかに白を引き立てるか』に拘った」


 結局、その後気になってサム・フランシスという男を調べてしまったリシャール。アンフォルメルという作風の抽象的な絵画を多く残しているのだが、キャンバスを二次元ではなく三次元的な空間として捉えているらしい。植物学・医学・心理学などにも精通し、そしてたどり着いた境地なのかもしれない。


 そしてその真逆。濃淡を生かした黒一色の『コンポジション・黒』という、これまた真逆の平面的な作品もある。これはレプリカを自宅に飾った。工房と家でのオンオフ。それに一役買っている。


「ていうかさ。だからなんの話かな? 私はここで好きなヴァイオリンを選んでいいよ、って言われて来たんだけど」


 表情は和やかだが、心では引き攣っているオーロールは、これはいけない、と猫を思い出す。香りを思い出す。平常心、平常心。M.O.Fはよくわからない人が多いねー。


 ここへは。ギャスパー・タルマに紹介されて来ているわけで。雑談も好きだけど、別に今はそんな気分じゃないかなー。


 テーブルに頬杖を突き「ふむ」と難しそうなため息を吐きながら、リシャールは率直に尋ねてみる。


「あの人から話は聞いているよ、オーロールちゃん。それと同時にストラディバリウス『シュライバー』も貸してある、と。逆に聞きたい。なにしにここに来たんだい?」


 真剣な眼差し。遊びは一切ない。

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