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21話

 その楽器によってもかなり差があり、トライアングルのような音の周波数の整数倍の音、いわゆる『倍音』が少ないものは、遠くまで届きやすい。オーケストラの中でも混ざらず、突き抜けて聴こえるような楽器にはこういった特徴がある。


 さらに観客がいる場合といない場合、その人数などでも音は変わるとされている。人間の肌や服が音を吸収し、ホールの作りでも反響が変化。言ってしまえば、同じ演奏は二度とできない。


 音が違う。なんとなくポーレットにも思い当たるものが。


「あー、自分の声を録音して聴いてみると、案外高かったり低かったりとか、全然聴いたことがないようなものだったりするアレに近いやつ?」


 以前試してみて、こんな感じの声なの? と驚いたことがある。ちなみに自身の声はもっと高いと思っていた。


 普段自分の声というものは、空気の振動である『気導音』と、骨の振動である『骨導音』で聞いている。だが録音は気導音のみなので、聞いてみると差異が生じる。


 人間とは面白いもので、年齢を重ねるにつれて高音が聞き取りづらくなるが、低い音というものは元来、耳にはエネルギーとして考慮されにくい。高くても聞こえず、低いとジリジリと蝕む不快感を与える。非常にデリケートな部分なのだ。


 似ている、といえば似ている。しかし、前置きとして「それとはちょっと違うんだけど」と付け加えたジェイドは、ここまでをひとまずまとめてみる。


「言いたいのは、それだけ音というものは曖昧だということ。数学みたいに完璧な答えがあるわけじゃない」


 足し算や引き算のように明確なものがない。芸術という分野にはよくあること。人によって評価が違う。だから議論する。だから終わりがない。が。


「でも、最大の素数とか、まだ解明できてない分野もある。円周率とか。じゃあ数学も曖昧ってことなんじゃ」


 バシッと決まったところにポーレットが余計なひと言を付け加える。一生終わらなそうな事柄。詳しいことは知らないけど。普通に生きてればお世話にならないから、わりかしどうでもいいこと。でもどうでもいいことだからこそ、覚えちゃうってのはあると思う。

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