表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/47

15話

 たしかにいつもと違うショパンを聴けた気がしたのはカルメンもであった。背骨があるショパン、というよりは、どんな形にも変化できるスライム状の。


「それは思った。前までのブリジットなら選ばなかった曲だし」


 どっちかっていうとだけど。


「お前はどっちの味方なんだよ」


「どっちでも。味方とかない。細かい」


「……あぁ?」


 少しずつ侵食されつつはあるものの、やはりブランシュのことを信じたいイリナ。中庸なカルメン。対立するが、今までのような熱さは感じられず、燻った炎。


 はいはい、と仲裁に入るヴィズ。ここはお店。迷惑もかけられない。


「やめなさい。納得はいかないけど、あなたの言いたいことは一応辻褄が合っている。ここにブランシュがいないこと、連絡がつかないことからもそれは明白。納得は。いかないけど」


 だが、心のモヤモヤは残り続けている。どっちの言い分も気持ちも理解できる。グラグラと揺れる不安定な石の上。今はまだ、ブランシュに寄ってはいるけど。それでも、オーロールという人物を完全に否定はできない。


「ヴィズが怒ってるの初めて見たかも」


 言葉の温度は変わらずカルメンがボソッと。だからなんだという冷ややかさも有りながら。


 ジロッと睨むヴィズ。そんな強い剣幕だった? いや、そんなことはないはず。


「怒ってないわ。冷静に判断しただけ」


 いつの間にかみんなの母親のような立場になってる。自分が最終防衛ライン。だから常に俯瞰していなければ。


 スプーンを犬歯で齧りながら、オーロールは「ホワイ?」とでも言うかのように手を広げる。


「不満は本人にぶつけてあげなよ。いつか会えると思うから。たぶん」


「それで。そうなるとあの子が作っていた香水。クラシック曲をテーマにしたもの。終わりってこと?」


 強引に軌道修正するヴィズだが、そもそもがブランシュと一緒にいたのは、香水を作るところからスタートした。ある意味で原点に戻る。なんだか、全ての記憶を失ってからニューゲームするようで。肺に溜まった息を吐き切る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ