今度はハンバーガーだ♪
ホットドッグ用のコッペパンの製造に成功したボクは次にバンズを再現することに成功した・・・ここは王城の最上階にあるリディアの部屋で、ボクの❝地球料理再現研究所❞の分室と化している。
「このパンは・・・細長いソーセージでは無く平たくて広い物を挿むのですか?」
「鋭いな」
オーブンからバンズを出したボクは冷蔵庫に冷やしてたハンバーグのタネを出して成型、同時に漬け汁に付け込んでいた3種類の肉・・・ビフテキ・ポークチャップ・照り焼きチキンを取り出し一緒に鉄板で焼き始める。
「ローストビーフも丁度良く焼き上がってる・・・肉汁を落ち着かせる為に少し休ませて置く、その間に各種ステーキを焼きながら他の用意も・・・・・」
スケルトンのスケさんに助手をさせながら料理するボク達を、大勢の人が取り囲んでメモを取ってる。
イヤでもさ・・・この王宮の料理人たち、それも新料理長まで来てメモ取ってるんだけど素人料理をアンタが学んで如何すんの?
「いえ魔人タカミザワ様の料理は色々参考に・・・・・」
まだ若い彼は真面目に料理から眼を放さない・・・ちなみに先代の料理長はボクに寿司を教わった為、寿司の道を究める為に宮殿料理人の座を捨てて野に下った。
はいボクが悪いです・・・迷惑かけてゴメンね新料理長さん、括弧「ボクが知ってるだけで4代目の」括弧閉じ!
そうボクが来た時の料理長さんは寿司に、そして二代目と三代目の料理長さんに冗談半分で蕎麦と天婦羅を教えたらコチラもハマって野に下り武者修行の旅に出て仕舞ったのだ!
「タカミザワ様・・・これ以上は流石に城の料理人を・・・・・」
「分かった、分かったってば!」
流石にリディアの言葉がキツイ!
だがそんな感じで肉が焼き上がると彼女の眼がハート型に・・・いや実際成ってる訳じゃ無いけど、そんな感じに成っちゃってる!
「で・・・これを如何言う風に?」
「先ずはだな・・・」
バンズを開いて切断面を下に・・・そのバンズが焼き上がるとバターとマスタードを塗って水けを拭いたレタス、その上にハンバーグを乗せケチャップとマヨを・・・その時にソースも乗せるのがボク流だ!
紙で包んで・・・・・
「これも両手で持って大きな口で齧り付く食べ物だ」
「もうタカミザワ様ったら・・・恥ずかしい食べ物は、いつも最初に私に試食させるんだから」
そう文句を上げながら大きく口を開け・・・まあ確かに可愛い彼女の貌を楽しんでるけど、いつの間にか召喚獣のスケルトン達も僕の背後に来ている!
「美味っしい~~~~~っ!♪」
「カッワイイ~~~~~ッ!」
「世界一カワイイ食べ貌だよネ」
リディアと共にスケルトンズも歓声を上げる・・・お前等ちと五月蝿い!
「このハンバーグがまたジューシーで・・・あぁ、あっと言う間に終わって仕舞った」
「色々試食して貰いたいから小さく作ったが今日は何種類もあるんだ・・・良かったら切って皆で分け合って食べてくれ」
するとリディアはフンスっと力を込めて了承を・・・イヤそんな試食に力まんでも♪
「次はサムライバーガー、いやテリヤキバーガーだ・・・豚や普通のハンバーグとドッチにするか悩んだが今日は鶏をテリヤキに、もちろん肉は豚でもハンバーグでもテリヤキに出来る」
「こ・・・この甘じょっぱいタレが・・・最高です!」
「ハンバーグを挿んで無くともバーガーと名乗って良いので?」
「元々ハンバーグを挿んでたモノを差してバーガーと呼んでたが、近年は他のモノでも丸いバンズで挿むとバーガーを名乗ってたんだ。おい・・・」
「用意出来てます」
バンズやコッペパンを複数用意しスケさんに揚げて貰った白身魚のフライとクリームコロッケとエビカツをバンズに、そしてカツとコロッケはコッペパンに挟んだ・・・のはボクの拘りだ!
「こ・・・これは!」
試食なのでリディアと切り分けて食べる大柄の鎧の男性が驚愕の声を上げる。
「カツサンドにはキャベツの千切りと豚カツソースで・・・・・」
「これは軍の戦時や遠征時の食としても!」
うんヴァンデラス公爵よ・・・アンタ軍人で将軍様だったもんね?
「でも何で叔父様が?」
彼はリディアの叔父なのだ!
ちなみにボクは彼女にオシリ叩きしたコト無いけど、ボクを召喚した時に自分達を生け贄にし様とした事を知られ近衛の子達も一緒に本気で泣き出すほどオシリ叩きされてた♪
「いやソレはだな・・・出軍後の部下の指揮を維持する為にも美味い物を用意しなくては成らないし、怪我で軍を辞める者にも手に職付けてやりたいし・・・・・」
少し挙動不審になると、
「と言うのは建前で美味しいモノ食べさせて貰ったと言う姪の自慢に我慢出来無く成ったと?」
「五月蝿いぞマリア!」
と突っ込まれてた。
マリアもボクを召喚した時に「何で陛下を止め無かった」とリディアと一緒にオシリ叩きされてたから、その仕返しにツッコミくらい入れたかったのだろう
ただ二人だけで無く叱られた皆が自分達を心配して叱ってくれたことを知ってるので、少ししか根に持っていない様に見える・・・うん少しは持ってるね確実に!
「そして薄切りのローストビーフを何枚も挟んで・・・コッチはホットドッグ屋でも販売出来るかも?」
「おう!」
「東南アジア風にコッペパンにアイスクリームを挿んで・・・・・」
「おうっ!!」
「コッペパンに挟む具材を色々用意して・・・サンドイッチとして!」
「おおおっ!」
皆が興奮してるけど、
「その前にオマエ等に一言言っとく事が有る・・・・・」
その場が静まり返った所で、
「ボクの食べる分は?」
作る傍から味見する間も無く全部食われてたからね!
皆手には何も残って無かったけどリディアの手には食べかけのエビカツバーガーが、それを彼女はヴァンデラス公爵の陰に隠れて口に押し込んだ。
「リディア・・・Hなお仕置きパート5を執行する!」
「イヤ~~~ッ、ゴメンなさ~~~~~い!」
そう言って逃げ回る彼女を捕まえると彼女を後ろから抱き締めたままソファに座り・・・・・
「ああっ!タカミザワ様許して耳躱を噛んだまま唇でハミハミしないで、ちょっと誰か助けてよ~~~~~っ!」
と叫ぶ彼女を皆が無視してスケさん達に試食の制作を促していた。
良い度胸だがボクの分残しとかないと・・・・・・
「魔界に派遣した聖女5名、全員無事に帰還しました・・・全ての瘴気を祓い、清浄に成った土地の土壌改良を始めています」
「良いだろう・・・だが一緒に送った聖者は?」
すると文官は言い難そうに・・・・・
「それが・・・ケモ耳っ娘や悪魔っ娘にうつつを抜かして・・・・・」
「ジョオンが居ただろ?アイツもがか?」
「いえ彼は向こうに教会を立ててアッチでも聖者や聖女の育成をしたいと・・・・・」
まあそう言う事なら文句を言う気が無いけど、
「何でオマエ等がココに居る?」
リディアの部屋の円卓に魔王と四天王それにボクの召喚に協力した女神さまが、チャッカリ座ってボクを期待してる目で見ている!
「ここに遊びに来ると美味しい物が食べられると・・・・・」
良い度胸だな?
まあリディアと近衛は一緒に食事する様にボクから命じたんだけどね・・・いや意地悪の気は最初から無いんだ、リディアが寂しくない様に食事が出来るように考えただけだ!
「オルブライトと魔界の間に転移門を設置します・・・コッチにもオイシイ物を流行らせて下さい!」
「そうだ魔神様、ずりぃぞ!」
四天王が騒ぐ。
ところで・・・
「女神様・・・隣の方は?」
胸ポケットに赤いハンカチを差し、上下ダブルのスーツで固め・・・目のモノクルだけ少し古風だけど他は完ぺきな老紳士が座っている。
「こ・・・この方は・・・・・」
彼女の態度で誰だか判った。
「ボクは怒って無いから彼女のオシリ叩き300年は免除してあげてよ」
「流石だなタカミザワ君・・・・・」
如何やら主神様らしい!
「で・・・今日は何用で?」
「私だって美味しい物が食べたい♪」
駄神か?この世界は駄神と駄女神しかいないのか?
「失礼な奴だな・・・まぁ私だって偶には美味しいモノ食べて癒されたいのだが?」
「いや別に作るのも手間じゃ無いから良いけど・・・・・」
仕方ないので休憩にし、今日もハンバーガーやサンドイッチのバリエーションを公開する。
その横で主神様は駄女神さまに、
「タカミザワ君に免じて300年間お尻叩きは免除してやろう・・・しかしオマエはウッカリし過ぎ、尻叩き1万回の刑だけはキッチリ受けて貰うぞ!」
「そんなぁ~~~~~っ!」
ボクは盛大にコケる・・・
「タカミザワ君が何を考えたか分かったがコイツも人では無く神の端くれ、1万程度は折檻しなければ仕置きには成らんぞ?」
「ちなみに1万回と言うのは?」
主神様は少し考えてから
「お仕置きとしては多い方だが何しろ小娘と言っても神、かなり多い方だが神へのお仕置きとしては普通の範疇じゃ・・・・・」
「なら良い・・・アンタは少し反省しろ!」
「そんな~~~っ!」
オルブライトが襲われたのは人の意志だが、この世界が不安定なのは彼女の責任が多いそうだ・・・少し反省させた方が良いだろう。
「で・・・今日のメニューは?」
「パン屋のラインナップを増やしたい・・・卵サンドにアンパン・クリームパン、他にもメロンパンやフレンチトーストも・・・・・」
「おおっ!」
皆が眼を輝かせる。
「特にフレンチトーストは残り物の硬く成ったパンの再利用に・・・・・」
「おおおっ♡」
今日もオルブライトの城は賑やかだった♪