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006話 こねこのえほんげきじょう

006話 こねこのえほんげきじょう


『とりあえず、自分が誕生日にアホみたいな理由で死んじゃったこと、それをすくいにネコサンがきてくれたことはわかったけどさ、どう救ってくれるのかな?』


 リーサがハグとナデナデをしていたのをそっととめると、リーサはするりと椅子の上にうつっていった。


「うーん、そのへんはこちらをみせながら説明しミャしょう」


 リーサの身体から手と思われる部位がのび、うえからふりおろすように動いた。


 すると二人の間の足元、床から何かがせりあがるように浮かび上がってきた。


 段ボール?木箱??横にちょっと長めの箱は、割としっかりしたつくりでふちがしっかり装飾さされている。


 これはゴーグル上に映っているだけ?伸ばそうとした手は、たちどころにおさえられ、膝の上に誘導される。


 箱の前のほうには白い布がかかっていて、なんかどこかでみたような形だと思った。




「開演なんだニャ。ちょっとニャがくなるけど、がんばって見てほしいニャ」


 白い布がたわみながら、するすると上にあがっていく、どこかで見たような光景。


 あぁこれ、劇場とかの幕のあがりかただ。スケール感が小包サイズだが、かみしばいでもやってくれるというのだろうか?


 幕が七割ほどあがったところで、ステージの中心にスポットライトがあたって、中心には、手のひらサイズのリーサが胸をはるように立っていた。


 ちっこいスケールのフィギュアかなにかと思ったが、その姿はリーサと同じように小刻みに揺れていて、耳もぴこぴこと動いている。




『こ、これは?』


 舞台にいるのも生きている、驚いて思わず声が強くなってしまった。


「おしずキャに、これから演目が始まるんだニャ」


 次の瞬間、椅子の上のリーサの姿が、しゅるしゅると縮み始めた。


 驚く間もなく、あぐらをかいて座っているところ、膝のあたりがもこもこする。


 重量や質感は感じないが、その姿はまたたくまにリーサの姿になっていった。


「特等席をしつれいしミャす、ほら演目の発表です」


 うながされてステージを見ると舞台のうえでネコサンたちが動き出す。




 中央のちびリーサとは別に、舞台の下手から全身真っ黒のネコサンが現れた。


 後ろに何かを抱えているな、と思う間もなく道具を取り出し、わきにたてかける。


 あれはたしか”めくり”とかよばれている舞台の道具だ。


 演目や役者名が書かれた紙をペラペラめくるもの、そのままじゃんと思ったやつだ。


 ステージ中央のちびリーサが一歩前に出て、よく通る声で語り始めた。


「本日はワレワレ”こねこのえほんげきじょう”へご来場いただき、まことにありがとうございミャす。本日サトウショウタ様にお見せするのは」


 クロネコサンが紙を一枚めくと、達筆な筆書きで”本日の演目”とあった。


『(ちいさなネコサンたちが、演劇形式で説明してくれるってことか!?)』


 四次元の説明方法にしてはずいぶんとローテクで、手間がかかっている気はするが、まぁありがたく視聴するとしよう。


「まず”あニャたの今の状態と、助かるための方法”について!」


 声にあわせてクロネコサンがめくりの紙をぺらっとめくった。


 独特の書体で”あなたの今の状態と、助かるための方法”と書かれていた。


 クロネコ、役割含めると黒子だなとのんきに思いつつ書かれている見出しを眺める。


「次にミィたち”キャットなネコサン”について!」


 クロネコサンは声にあわせて器用にめくりをぺらぺらとめくってゆく。


「そして、助けるついでで協力してほしいこと、すニャわち”この世界に迫っている脅威について”の、三本立てとなっていミャす」


 ステージの下手から、ぞろぞろちんまいネコサンがやってきた。


 色や背丈、体格、かぶっている布の模様もまちまちで相当奇妙な光景だ。


 彼らはステージに一直線にならぶと、こちらに向かってペコリとお辞儀をした。


 あんま長くないといいな~とおもいつつ、条件反射的に拍手をおくっておく。


 あわせて膝上のリーサも拍手をおくり、幕がいったんおりてゆく。


 どうやらこの”こねこたちのおゆうぎ”をみてあげないと、いけないらしい。

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