018話 つくってこわして
『にゃうローディング!?』
映っている景色が点滅を始めた。いや、点滅ではなくこれは、昼と夜が目でとらえきれない速さで入れ替わっている、映像がすごい速さで進んでいるのだろう。生えていた植物も何度となく入れ替わり、生えている内容も少しずつ変わっている。ときおりカットインで前を通りかかる生き物の姿も徐々に変化してゆく。進化を続け、さらに膨大な時間が流れ、ようやく見慣れた景色になったと思ったころ、最後にようやくタイトルが表示された。
「ちニャみに、作中で出てくる”滅びた古代文明”とかの分は、最初のほうの遠隔で映っていた時に何回か繰り返されているんだニャ。ショウがゲームの電源を入れてからタイトル画面表示までのだいたい一秒、その間に二次元の世界ではだいたいこんニャことが起きてるんだニャ」
(なんか、とんでもないことを言い出したな。いや、むちゃくちゃ過ぎんだろ)
『すごい壮大な景色だったけど、これを毎回やってるっての?じゃあ電源を切ったらどうなるの??』
「もちろん画面や中で動いているものがぜんぶ消える間の一秒で、世界のほうも終焉を迎えるんだニャ。終焉のほうの映像も見る?パニックホラーとか、ゴアっぽい表現が平気ニャらそっちもやってもらうけど??」
『あ、いいです、大丈夫です』
「じゃ見ても大丈夫ということで終焉バージョンを」
『ノーサンキューでオネガイシマス!』
ちょっと整理が追い付かない、正直荒唐無稽な話だと思う。だいたい、あのソフトが世界で何本売れたと思っているのか。発売からだいぶたっている今でも世界で多くの人がプレイし続けているというのに。毎日二次元では途方もない数の世界ができては消えてを繰り返していることになる。パラレルワールド?マルチバース??その辺のコトバを映画好きなやつが熱く語ってた気もするなぁ。
『今の理屈だと毎日、というより常にとんでもない数の世界が創世と終焉を繰り返していることになるよね、無茶苦茶じゃない?』
「そのとんでもない数、無数の似たような平行世界が、今もたんたんとつくってーこわしてーを繰り返してるの。それこそどこかでミャミャがコネコチャンに”むかーしむかしーあるところにー”とか語りはじめただけで、二次元世界では世界の創造が行われちゃうんだニャ」
舞台のちびリーサが懐からボールを取り出す。小さいが地球儀だな。それは空中に浮かび、すこしずつ回転を始めた。こちら側に見せている側、日の当たっている部分を中心に何かが光っている。無数の四角が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返しているようだ。例外はあるが、ほぼ陸地の形をなぞるように、各地で無数の小さな四角が地球の表面を覆っている。ひょっとしてこれは?
『これだけの世界がつくってーこわしてーを繰り返してるってこと?』
「ハイですニャ。そしてそのつくってーこわしてーの繰り返しですが、どうしても不整合がおきてくるの。つくるつもりが壊れていたり、こわしたつもりが残ったり。口に出した、文章に記した時点で破綻しているようなケースもたっくさんあるの」
(まぁ、整合性が取れていない、いろいろ破綻しちゃってる作品なんてあるもんな)
「ある程度自浄作用が働いたり、バランスを保ってくれてるコがいたりで、ニャんとかバランスとってたけど、最近ちょっとおかしいの。生じる歪みが大きくなってきちゃったの」
『!?』
「理由はいろいろあるんだニャ。人の数増えすぎ。物語多くなりすぎ。みんニャが物語の世界に親しむ時間も増えてるんじゃニャいかな。イロヨイエー?おうちが一番おでかけよくニャいとかの、えーと」
『あぁ、ステイホーム?』
「それニャ!で、ミィたちの調べた結果では、物語の中でも”ゲーム”は特に、問題増加に強く関わっているという結論にたどりついたんだニャ」
舞台の幕がすっとおり、こちらがぐぬぬとうなっている間に幕があがる。シーンはこの間にさっと切り替わっていた。




