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漏れたッ!

作者: 両さん

本当は1ページWeb漫画で投稿していこうと思っておりましたが、画力やコマ割りが未熟で文章にてお届けします。

戒めとしてこの稚拙な作品を。

【第1話】駅での「あっ...」


ジリリリ、といつものように目覚ましが鳴る。


ああ、煩い。早く止めなければ。

手を伸ばす。無い。

いつもの所にスマホが無い。


そう言えば昨夜、必ず起きられるよう離れた机へ置いたのだった。

しまった。完全にやらかした。

これでは完全に布団から出なければならない。

絶対に目が冷めてしまう。


そうするために仕掛けた事を忘れ、ただただ昨夜の自分をひたすら恨む。


仕方ない、出よう。

モソモソと這うように重い体を動かす。


スヌーズはかけておらず、起きなければいけない時間から8分程経った所で止まった。

勝手に切れるのか。


なぜか毎朝、この行動をとってしまう。

実に学習能力が無い。


さぁ、出勤するため身支度を整えなければ。


10分でシャワーを浴び、買っておいたパンをトースターに放り込みヒゲを剃る。

食べるのは机ではなく、台所の流しの上で十分だ。

水道から水も飲める。

野菜ジュースや牛乳など買っていない。

それは生活リズムに余裕を持って生きている意識の高い者が飲めばいい。


歯を磨くにもうってつけだ。

洗面台?あるが毎朝台所でだ。

洗濯物が溜まっていた気がするが今は些細な事。


スーツを纏い、整髪料で髪を整える。

ネクタイの歪みを確認したら出発だ。

ジャケットを羽織り、部屋の電気を消す。

玄関のドアを開け、戸締りをする。

鍵のチェックはOKだ。


徒歩8~9分程の駅へ向かう。

エアコン消した。鍵は閉めた。ガスの元栓・・・はまぁ大丈夫だろう。

部屋の電気は消したな。

今日の得意先は見知った人が相手だと有難い。


などと色々考えながら歩いていれば駅まですぐだ。

しかし、何か忘れている気がしてならない。


ICカードをかざし、ホームまでの階段を歩く。

この人の多さだけは本当に嫌になる。

いつもの車両へ乗るためホームで人の間をすり抜けて行く。


ああ、待つのは12番目か。

3駅先から激混みだからせめて6番目ぐらいが良かった。


電車が来る。

扉が開き、降りた人々はそのまま行ってしまうか両脇で留まるか。

こちらも乗り遅れないよう、すし詰めの車内へと無理やり体をねじ込む。


慣れない。


扉が閉まるまでの時間が長く感じる。

乗ってしまえば今いるこのポジションは会社の最寄り駅までの約40分、ほぼ動かないだろう。

扉が閉まり、電車が動き出す。


今日も朝から酷い目にあった。ため息をこぼす。

未だ身動きの取れない状況で一安心、のはずだった。


腹から音がする。食べた物を消化しているのか?

ああ、そのようだ。腹痛ではない。

しかし、直後。

出口にいきなり落雷が。

耐える。


驚いた。腹も痛くないのにいきなり来るか。

珍しいもんだ、思ったその時。

下腹部から嫌な音が。


これはダメだ。ヤバい。こんな所で来やがった。

何故だ?こうならないよう、気を付けていたはずだ。


まさか。

襲い来る波の中、思考をめぐらせる。

朝の行動、家を出てからの脳内確認。


・・・ああ。

そうだ、そうだった。

トイレへ、トイレへ行っていない。

用を足していない。なんたる不覚。

いつも朝食を済ませた後歯を磨きながらトイレへ行くじゃないか。


襲ってくる波はそれを怠った罰なのか。

神様、助けてくれ。漏らすのだけはイヤだ。


まだあと30分は電車の中だ。

緩急をつけて襲ってくる波。


あ・・・




ヤバかった。今の波はヤバかった。

しかし乗り切った。乗るのを強制されたBIG WAVEに乗り切った。

これで持つ。勝った。最寄り駅のトイレまで大丈夫。

危なかった。油断したら攫われていた。

安堵し、目的の駅までをひたすら待つ。


あれから数分経っただろうか。


不意にやって来た。

波だ。

BIG WAVEを乗りこなした自分にならこの程度。

ほら見たことかと勝ち誇る。

こちらの気の弛みを読んだかのごとくまた次の波。

大丈夫。精神的に勝っている自分には何処吹く風。


が、極大の第二波だ。

ダメだ。躱せるか?

いや、乗り切る。絶対に。

しかし、長い。

この波はいつ途切れる?まだ続いている。

冷や汗が出てきた。


不味い。本格的に不味い。

これはダメかもしれん。


車内アナウスが耳に飛び込む。

波と戯れている間に駅へと到着しそうだった。


目的の駅まで来られれば勝ちだ。

扉が開いたら我先に出ていってやる。

まだか、まだなのか。

開いた!


「すみません!吐きそうです!!」


人が左右へと散る。

降ります、では人が退かないと経験していて良かった。

扉から出る。

左右を見渡す。


ど こ の 駅 だ


知らない。こんなホームは知らない。

階段はどこだ?見渡し、焦る。

焦っていても波はまだ収まらない。

余計に酷くなっているかもしれない。

人も多く駅名の確認が取れない。階段は見つけた。

腹を庇いながら人混みを進む。


・・・波が、止まった。


いや、油断出来ない。

階段を降りる。

改札を出る前に駅員にトイレを聞く。

反対側にあります。


反対へはどうやって行く?

トイレの場所を聞いたは良いが、焦って耳に入っていなかった。


進みながら思う。これは本格的にヤバい。

しかし、波が収まっているため少しの余裕はある。

油断はしないが少し冷静になれた。


立ち止まり案内板を見る。

なるほど、ぐるっと回ればたどり着く。

頭にイメージしながらトイレを目指す。


あった。見つけた。

そう思った矢先に来た。


声にならない声をあげる。


ダメだ、まだトイレじゃない。

自分に言い聞かせるが波は言う事を聞かない。


急げ。

もう目の前だ。


入ってすぐ、個室まで。

1つ目、赤い。

2つ目、赤い。

3つ目、は用具入れ。


ダメだ。使えない。

トイレを出る。

どこだ。空いているのはどこだ。

駅員に聞く。もう1つある。


急げ。立ち止まるな。


ほら、急げ。


急げ。


見えた。


あと少し。


あと少しでゴールだ。


波が最高潮に達する。










「あっ...」








拙い文章を最後までお読み頂きありがとうございます。

臨場感は出せていましたでしょうか?

某所には出口が緩やかな方々がいらっしゃいますため、トラウマを呼び起こしてしまったのなら申し訳ございません。

作者はもうアラフォーですが、今まで何度も運良く助かっておりますとだけ尊厳のためお伝えしておきます。


休憩の合間合間に打っておりましたので、確認はしましたが文章力や誤字脱字があった場合はその程度の学力だと思って下さればと。


2話以降に関して案はございますが、なにぶん初めてのためお読み頂いた方々の評価にて今後を決める次第です。

それでは、失礼いたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] すごい緊迫感でした。ドラマチックです。 [気になる点] オチは…様々な意味で残念でした(笑) [一言]  つい読んでしまいました。タイトル上手いですね。 マンガになったところも読みたいなあ…
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