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ブラックサンタの贈り物

作者: 灰色日記帳


 12月24日。

 きょうはクリスマスイブ。

 サンタさんがやってくるこの日を、ぼくはずっとずっと待ち望んでいた。


 良い子のところにしかサンタさんはやって来ない。

 もちろんそれは知っている。

 だけどぼくには自信がある、きっとサンタさんは来てくれる。ぼくに最高のプレゼントをくれるはずなんだ。

 だってぼくは良い子だから。

 日々せっせと働いて、悪い獣をたくさん退治しているんだから。


 さあ、庭を飾り付けなくちゃ。

 喜んでもらえるように、降り積もったばかりの雪を隅から隅まで、サンタさんが着ている服と同じ真っ赤に染め上げよう。

 罠で捕まえたうるさい獣を、全部残らず黙らせよう。

 突き刺して、焼いて。

 とてつもなく楽しくて賑やかな狂気の宴、きょうはクライマックスだ。

 いなくなっちゃったお父さんとお母さんにも、見せてあげたかったな。


 

 やってきたサンタさんを見て、不思議に思った。

 ぼくが知っているサンタさんとは、あまりにも様子が違ったからだ。

 黒い服を着ていて、その顔はまるで悪魔のように恐ろしく、醜く歪んでいて……。


 黒いサンタさんは、ぼくを鷲掴みにして袋の中に押し込んだ。

 袋の中は、血や石炭のような臭いが満ちていて噎せ返りそうだった。


 ――お前へのプレゼントは、地獄行きのチケットだ。


 不気味な声で、黒いサンタさんは言った。

 抵抗する気すら、起こらなかった。

 これで、やっと解放されるのだから。


 心残りがあるとすれば……。

 まだ黙らせていない獣を、始末したかったな。






悪い子供に罰を与える、黒いサンタもいる。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] いったい、何から解放されたのか。 生きるという苦痛から? それとも――。 [一言] クランプスやクネヒト・ループレヒトとかいうアレですね(◞≼⓪≽◟⋌⋚⋛⋋◞≼⓪≽) 有名どころの都市…
[良い点] クリスマスイブという心躍るハレの日とは対照的な、血生臭い剣呑さと不穏な空気が印象的ですね。 視点人物である「ぼく」が言っている「悪い獣の退治」は、相当に物騒な行動なのでしょうね。 そして「…
[一言] 短く読めてフレーズの繰り返しがあったりしたらマザーグースの歌のようだとおもいました。 よく子供に言う「良い子にしていたら」の この良いは誰にとっての良いなんでしょうね。 子供 親 神様 そ…
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