白ナンバーの食品輸送ドライバーがトラック無しで剣と魔法の世界に転生されたけど後方支援だから何とか生きてる。
多くの輸送会社は緑ナンバーであるため
貨物を自己判断で処分することはできません。
しかし主人公は幸運にも
自社製品を運ぶ白ナンバードライバーで荷物は食品!
会社からの頒布許可を電話で受け、なんとか配り切り、
そのあとは付近の乗用車の除雪を手伝います。
しかし、食品輸送のドライバーに防寒装備なんてありません。
無理がたたって命を落としてしまいますが…。
高速を移動していたら例年にない豪雪で身動きが取れなくなり、付近のドライバーを支援していたら体力の消耗で死んだ。
ああ、移動なんかせずに事務所にずっといられればいいのに…。
燃料切れで冷えつつある運転席で俺の意識は途絶えた。
しかし、視界が真っ暗になったと思った次の瞬間、
急にあたりが明るくなった。
不思議に思ってあたりを見渡すと、ベルトのついた革製のポーチを身に着けた、古代ローマにいそうなガテン系の兄ちゃんがいた。
ガテン系はポーチから光る球を取り出すと、俺に向かって投げつけてきた。
いきなりなにすんだ!と思った瞬間、頭の中に声が聞こえてきた。
「旅商人のお前、気に入ったぞ!死ぬ直前まで自分の財産を分け与え、周りの旅人を助けた!感心したから転生を行い、お前の願いをかなえてやろう!
…よし、旅が嫌なのは残念だが、倉庫に困らない縁を授けよう!来世でも商人として大成するがいい!ガッハッハ!」
…いろいろ違う!俺は旅商人じゃない!倉庫の縁って何?それだったらアイテムボックスとかワープとかさせてくれよ!説明させてくれえぇぇぇぇぇえええ!
再び重くなる瞼を必死にこらえつつ、いつもキーをぶら下げていた腰元がジャラジャラとした鍵の束で重くなるのを感じ、絶望の中で俺はこの世を去った。