動き出す運命
ガルム王国にある国立魔法学校の上位入学者(主席~10席)は王国の魔導書館の立ち入りが許可される。
これは学期毎に行われる試験や騎士学校との合同演習の成績によっても権限を得られるが入学してからすぐ閲覧できるアドバンテージは大きい。実質上位者の使える魔法が増えるので試験でも合同演習でも上位者が占めるため、よほど努力しない限り永遠にその権限は得られないのだ。
贔屓だと思うだろうがそれは違う。魔法の精度、魔力量、技術などなどが高くなければ魔法の暴発。大事故を起こすかもしれないからだ。
そして今、私とアスラはその魔導書館に来ていた。目的は私の得意とする火属性の上位魔法、炎魔法の魔導書を読むためである。
魔法は主に7属性ある。火・水・風・土・雷・闇・光である。それぞれに上位互換のような魔法がある。それぞれ特徴は異なるが、威力や規模などが桁違いなのだ。ちなみに複合魔法は難易度的に上位魔法に分類される。
そして人族も魔族も獣人族も生まれ持った魔法適性がある。別に適性がなくとも魔法は使えるが、威力が極端に弱くなったりするので、大体の人は使わない。
それで私の適性は火属性、副属性は光。そして火属性魔法はオリジナル魔法を除き全て習得済み。なので炎属性魔法をマスターしに来たわけです。
「エレノアこの本棚じゃないのか?炎属性の魔導書って」
とアスラはそういって炎属性の魔導書を私に渡してきました。
「ありがとう。よく見つけられたわね。こんなにもいっぱい本があるのに。」
「まあ 探し物は得意なんだ。ほらこの前もエレノアの脱ぎっぱなしの下着を」
「あーあーあー!!! こんなところで何言ってるの!あれは、その、あれよ、疲れてたから仕方なくよ!魔力の回廊を繋ぐ練習の後だったからよ!」
「ふ~ん ま、いいけど」
今すぐそのにやけ顔をぶん殴ってやりたい!
でも今は炎属性の習得が先だ。炎属性をマスターして1発ぶち込んでやる!
そのことが影響してかわからないが、私は1日足らずで炎魔法の三分の一くらいを習得した。普通は月単位かかるものだそうだが。
自分で言うのもなんだが私は魔力制御と魔法式構築に関して天才であると思う。
その日の帰りにアスラに覚えたての【火炎槍】を連射したのはまた別の話。
魔法学校入学の知らせを御父様と姉たちに送ると、お祝いの返事がすぐ帰ってきた。滅茶苦茶喜んでいた、御父様はともかく長女は「会いに行く!」と書いてあったが丁重にお断りした。長女は私を溺愛するあまり何をするかわからない。昔は一日中付け回され、抱き着きまくられた。次女は普段はおとなしく凛々しいのだが、私に対しては目の色が変わる。小さかった私を着せ替え人形のようにし眼をギンギンに光らせてた。そう目が怖いあと息遣いも少し荒くなる。この二人は違うベクトルの怖さを持っているのだ。御父様が一番ましとは・・・
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「おい!そっちにいたか!」
「いいや!見当たらないどこ行きやがったあの餓鬼ども!」
「探せ!あの魔族は高値で売れそうだ。必ず捕まえろ!」
「「「「応!」」」」
「ハァハァハァハァ ルナ大丈夫?」
「つかれたの」
「少し隠れて休もうか お姉ちゃんも疲れたよ。」
「ん ルナ、眠くなってきたの。」
春が過ぎ夏が近づいてきた季節。
不穏な影は近づき。この二人にとっては運命の出会いが訪れる。