結果
「単刀直入に言おう。アスラ君。君は合格だ。」
「「!?」」
私とアスラは同時に驚いた。
「どういうことでしょう?俺はあんたに1撃もくらわすことができてないと思うが。」
その通り、アスラの攻撃は御父様に悉くいなされ、一撃たりとも与えられなかったのだ。
「では理由を聞かせてやろう。最後の1撃の際、我は3割で十分だと思っておったが、君は私の全力の5割ほどを引き出した。今のこの国にその年でここまでの強さのものはいないだろう。よって我は君をあくまで娘の護衛として魔法学校に赴くことを許可しよう。」
「なるほど、わかりました。この命に代えましてエレノアお嬢様をお守りします。」
「うむ、よきにはからえ。ただしエレノアに手を出すことは許さん!断じて許さん!仮に手を出そうものならこの我が叩き斬ってやろう!」
「大丈夫ですよ、お嬢様はとてもお綺麗ですが手を出すことはないでしょう。自分は魔族です。仮に姿を隠していてもそれは変わりません。人族と魔族でそういうことは対外的にもいろいろまずいでしょう。」
「わかっているならよい。あとエレノアの身の回りの世話をする必要はないぞ。エレノアは自分のことは全て自分でできるからな。」
「わかりました。」
そんなこんなでお話が終わりました。アスラにとても綺麗と言われて頬を赤らめたことは誰にもばれてない様子で一安心。不意打ちからのクリティカルの威力はすごいわね...
「そういやさっきから思ってたんだが、俺としゃべるときと父親としゃべるとき言葉違うくないか?」
「こっちのしゃべり方が素よ、これでも公爵令嬢よ。公私混同はしないわ。それを言うならアスラ、あなたもよ。御父様のことをあんたって呼ぶなんて。命知らずなのかしら?」
「ハハ、俺も素が出たってことだな。」
屋敷の廊下で笑う二人の声だけが響いた。
それから魔法学校の入学試験までの一ケ月間でアスラに筆記試験の対策勉強を行った。驚くことにアスラは人族の言語を話せるだけでなく、文字を書くこともできていた。一体君は何なのと聞いてもはぐらかされるだけで答えてくれなかった。 よほど言いたくないことなのだろう。
一ケ月後、私たちはここガルム王国の王都ガルムにある魔法学校の入学試験を受けていた。王都ガルムには2つの大きな学校がある。1つは魔法学校、もう1つは騎士学校。正式名称は長いから覚えてない。
その騎士学校には私の姉二人が通っている。二人とも違うベクトルで私を溺愛しているから対応が大変なので受験しに来ていることは内緒にしてある。
それで魔法学校の試験内容なのだが、1つは筆記試験。それなりにレベルが高く難しい。そしてもう一つは実技試験。こちらはさほど難しくなく初級~中級の魔法を的に放つだけ。評価は魔法の種類・精度・威力の3つを見られる。筆記と実技の割合は1:1とされており、どちらかだけ長けていても落ちる可能性がある試験となっている。
でも、私とアスラにとってなんの問題もなく難なくこなし無事二人とも上位合格しました。
私は次席、アスラは第3席で。
次回から新章に入ります。
ここまでは少し長めのプロローグになります。