決闘・上
数日後、アスラの怪我は完治し魔力も回復した。そして今、屋敷の演習場で御父様と対峙していた。
「ふむ、獲物は剣か。」
「ええむしろ剣しか使えません。」
「なるほどな、では始めるとしよう。マッチ開始の合図を!」
「承りました旦那様。 それではアスラ殿とガレス様との決闘と執り行う。」
辺りが静寂に包まれ、肌がピリピリします。
「では...始め!」
開始の合図と同時にアスラが動いた。速攻だ。一瞬で間合いを詰め御父様に下段からの切り上げ。
普通の剣士ならこれで終わりだろう。でも...
「甘い!!!」
そのすさまじい咆哮でアスラは壁まで吹き飛ばされる。とっさに防御していたようだが体制が崩れた。その隙を逃さず、さっきよりも早く間合いを詰め上段斬り。これを紙一重で受け、鍔迫り合いに。
「こんなものか。その程度では認められんな!」
「まだまだこれからですよ、お義父様?」
「我は貴様の父ではない!!!娘はやらんぞ小童!!!」
「僕の呼称を統一してくださいよ、どんどんひどくなってません?」
「黙れ!馬の骨!軽口を叩ける余裕がありそうだな。」
「こっちの魔法が完成するまで待っていてくれたんでしょう?」
「ふん 全力を見せよ。ねじ伏せてやる。」
そう言いお互い距離をとる。
アスラが手を頭上に掲げ
「ではお見せしましょう。【黒炎鳥】」
そう叫ぶと手の上に大砲くらいの大きさの漆黒の凶鳥が顕現した。
「ほう火と闇の混合魔法か。しかもかなりの魔力を感じる。上級魔法クラスか。」
「ええ、では 行きます!」
そう言ってアスラが【黒炎鳥】をガレスに放つ。ガレスは剣を上段で構え振り下ろす。
炎の奔流が演習場を覆う。視界が炎に包まれ演習場内を隠す。
【耐炎結界】を越しでも熱い。あの場にいる御父様はもっと...
視界が晴れると、漆黒の凶鳥は体の半ばまで斬られながらも形を保っていました。
一方ガレスは無傷。何事もなかったかのように立っている。
「いい一撃だった。しかし足りん。こんなものかお前の全力は。」
「正直やけどの一つでも負ってくれると思ったんですけどね。あんた強すぎ。」
「ふん まだ若造には負けんわい。もう他にないのなら終わらせよう。」
「これだけは使いたくなかったんですけどね。本当の全力を見せましょう!」
今にも消えそうな漆黒の凶鳥が急に高く飛びあがりアスラに向けて急降下。アスラが黒い炎に包まれる。
「え!? アスラ!?」
思わぞ声が出たが心配は杞憂だった。
黒い炎はアスラの背に収束して2翼の黒い翼が顕現した。
「さあ 第二ラウンドだ」