出会い
違和感をおぼえた
どの書物を読んでも過度な揶揄や侮蔑があった
まるで私たち以外を害獣として見るかのような
母様に絵本を読んでもらっていた時からすでにその兆候があった
角の生えた【魔族】。動物の特徴をも【獣人】これらは例外なく悪として語られていた
でも母以外の大人たちはそれが当たり前のようだった
私もそう考えていたかもしれないあいつに出会わなかったら・・・
「ふぅ、これで4体目。あと1体」
私“エレノア=アレインスター”は御父様との約束で騎士公爵家にもかかわらず
「剣の道へ行かず魔法を極めたいです!」と進言して、
「では入学試験を受ける前に私に魔法の才を見せ私を認めさせてみろ。見事私を認めさせたら魔法学校入学試験を受けさせてやろう」
と御父様に言われ試験内容{魔法のみで魔獣5体を討伐し家まで持って帰ってこい}をすることに。そして時刻はまだ正午過ぎこれは余裕だ。
魔獣は本来13歳の少女が単独で討伐できるモノでないのだが私の魔法制御をもってすれば楽勝ですね。さ、とっととあと1体討伐して帰りましょう、これで魔法学校へ通えます♪
(ん? これは魔力反応?・・・とても弱っているわね。でも魔物と反応が違う。なんだろう?)
そう思い茂みをかき分け【隠密魔法】を発動しソレに近づく
そしてそれを見て思わず息を呑んだ。
(魔族だっっ!)
特徴的な角
一目見れば子供でも分かる、絵本に出てくる魔族そのもの。
<魔族は敵 見つけ次第 殺せ>
幼い時からそう教わっていました 見たところあの魔族は消耗しています。
右肩と頭から出血して木の下でぐったりしています。
今なら 殺れる!
火属性中級魔法【火槍】をつむぎ茂みから出て放とうとして手を止めました
<本当に魔族は悪なのかしら。私はね人と同じ優しい心を持った魔族もいると思うわ>
昔、母がよくつぶやいていた言葉を思い出しました。
<エレノア。一度魔族を見てみて。ふふ、外見は怖いかもしれないわね。でもよく知りもしないで排除しようとする人のほうが醜いと思わない?>
そうですね母様。一度自分で確かめてみます。
【火槍】を解き、私は魔族と対話しようと彼のもとへ歩みを進めます。