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こころの在り処

作者: 観世

ありがとうございます!

彼に出会うまで私の心はいつも落ち着いていた。私はいつも私で他の誰かによって私の心が乱されるなんて事あるはずがないと思っていた。


友達からの返信が遅くても、急に約束をドタキャンされた時も。少し落ち込んだり、なんだそれと少し憤ったりはしたけれど私は私のままでいられた。


でも彼と会って初めて私が私の手に負えなくなった。


今までの私は友達が好きだと言っていた店やブランドもあまり気にした事がなかったし、○○のアーティストが好きなのと言われても軽く流していた。


でも彼が言っていたブランドやアーティスト、何気なく発したであろう言葉まで覚えていて自分でも不思議だった。


少し仲良くなってメールのやりとりを初めてした時。長すぎたりそっけなくなってないかな?と色々な事が気になって今までにないくらい何度も見直した。


返事がいつ来るかドキドキして気づいたら用もないのに携帯を何度も確認していたり…。


この頃から私は今までにない自分の行動に戸惑い、少し恐れはじめていた。


ただの星占いがどうしても気になったり、様々な場面で彼ならこう考えるんだろうなと想像している自分がいる事に気づいた時は愕然とした。それと同時にとても怖くなった。

私が今までの私ではなくなっていく、私の手に負えなくなっていた事に。


これ以上進んだらきっと私は私でいられなくなる、彼の反応や言動に一喜一憂してしまう自分が嫌だ。そう思うけれど私の心は私を置いてどこかにいってしまう。


そんな自分に疲れて、友達に相談したところ一冊の本を渡された。


内容としてはなんの変哲もないありふれた物語、とある貴族の女性と男性が政略結婚の末に自分の恋心に気づくというもの。


だけどもそれは今の私の心情にそっくりで、気づけばその物語に惹き込まれていった。


そして私はその状態を一般的に何と呼ばれているものか知った。


―恋、というものらしかった。


「こい…」

これが?私の中は疑問でいっぱいだった。私の知っている恋とはとても幸せでずっと穏やかでいられるものだと思っていたから。


「これが恋?」

疑問に思った私は周りの彼氏がいる友達や好きな人がいる友達に聞いて回った。


恋って幸せでずっと心穏やかに過ごせるものだよね?と。

それを聞いた時周りの人の反応は様々だったが、皆きちんと答えてくれた。


曰く『幸せだけどずっと穏やかでいられるものではない』らしい。


私はそれまで上手くいっている友達は皆幸せそうで不安になったことなどないと思っていたのだが私の勝手な決めつけだったと知った。


彼女達も私同様に戸惑い、傷ついていた。もちろん全ての人がそうではなかったが。



私は今までずっと心を制御して生きてきた。ほんとに辛くて泣きたい時もなんとも無いと自分に言い聞かせて。自分の心に嘘をついて少しでも傷つかないように。


だからこそ私は常に自分の心を支配していた。自分で完璧にコントロールしていれば他人に何をされても傷付かずにいられるから。


―その結果私は痛みや悲しさに鈍くなり、周りの痛みにも鈍感になっていた。


思えば一見幸せそうに見える娘も時々悲しそうな目をしている事があった。私は気のせいかと思って聞くこともしなかったけれど、あの子もきっと何かに悩んでいたのだ。



皆、こんな思いをしていたんだ。

――ああ、これが恋というものなんだ。

そうわかった途端不安や焦り、自己嫌悪でいっぱいだった私の心が少し落ち着いた。



※   ※   ※   ※   ※   ※

そして数日後。

未だに彼の言動や素振りに一喜一憂させられるが、前ほど自分が嫌だと思わなくなった。むしろ今まで抑えつけていた自分の心に気づき、受け入れた事で少し自分が好きになれた。そして彼のことも大切で素直に好きだと口にすることができる。(もちろん本人にはまだ言えないが)



「なんか、少し変わった?」

そう彼に聞かれた。


「…うん、あなたのおかげで少し自分が好きになれた。だから毎日がとても楽しいの。ありがとう」

そう言って笑った私に彼の顔が赤くなったのはきっと気のせいではないはずだ。

最後までお読みいただきありがとうございます!


ちなみに、本の内容の小説を書いてますが(まだ投稿はしてないです)、文体がライトすぎて心の在り処の主人公ちゃんには共感できないかなぁと心配しております(^_^;)



またお会いできましたら(*^^*)

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