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ナコイ トオル

…どうするよ、これ。というのが、前作『マクデブルクの半球』を書き上げた時の自分の感想でした。

様々な諸事情の末なんとか完走出来た前作ですが、小説家になろうのサイトに載せたのは、結構、あの作品をどうにも持て余してしまったから、という背景があります。

勿論それだけが理由ではありません。ーーー出せ、出せ、と、どこかで彼らが叫んでいたようにも思えたので。


はじめまして。そしてもし言えるのなら、お久しぶりです。ナコイ トオルです。

前作の最後に次回予告までばっちりしていた割には、あの時点でこの物語は全く形になっていませんでした。我ながらそんな状況でよく言えたなと感心しますが、それだけまた皆さんにお会いしたかったのだなと思っています。お会い、出来たでしょうか?


実はあの最終話は空港のロビーでこれから乗る飛行機を眺めながら投稿していました。件の次回予告もです。

そして何故か今回も空港で投稿しています。そんなにしょっちゅう飛行機に乗っているわけではないのですが…。



この物語も、ずっと頭の中にあって、けれど形になることはないのだろうな、と思っていた物語でした。

それでもぽつぽつとまた言葉を手繰り寄せはじめたのは、もしかしたら、誰かの世界に『彼ら』が必要とされているかもしれない、と思ったからです。

仕事中のふとした空き時間、電車で揺られる中、眠る前のほんのひと時、もしかしたら。もしかしたらどこかの誰かに、『彼ら』が呼ばれたのではないかとーーーもしそうならば、自分ももう一度彼らに会いたいと、そう思ったからです。



前作を書き終えてからそれほど時間は経っていなかったので、すんなり書き出せるかと思いきやーーーいきなり出だしからつまづきました。これはまずい。まずい。と。

かつての少年はふわふわ安定していないし、どこぞの詐欺師も気もそぞろです。あれ、こいつらこんなんだったっけ…と思ったところで、はた、と思いました。

当たり前だ。この二人はまだ、あの二人になるまでの時間を過ごす前なのだから。

あの二人のやり取りの軽さや重さに繋がるまで、きっとたくさんの時間がかかってーーー少しずつ近付いて行って。だから今は噛み合わないし、そして噛み合うまでの二人を自分は書けるのだと、そう思いました。



これは、疲れ切って、もう選択肢すら考えられなくなったひとたちの話です。

悲しみが深過ぎて、もうどうしようもなくなって、かといってそれを誰かに分かってもらおうとは思っていないひとたちの話です。

傷も痛みも全部独り占めしようとしてことごとく失敗したひとたちの話です。


少年は詐欺師を選んで、少年は詐欺師と手を繋ぐことを望みました。

少年の髪は金色から黒色になり、かつての少年は、あの青年になりました。

詐欺師は詐欺師のままで、青年と再び邂逅しました。

詐欺師と手を繋ぐため、自分の傷を抉り返した少年。

これは、そんな話。



そしてこれは前作に繋がります。それならば次は、詐欺師が彼に出会った話でしょうか。


それでは、皆さま、もしよろしければ。

次は、『セントエルモの消失』でお会いしましょう。



願わくば、あなたの世界のどこかで『彼ら』が手を繋いで笑っていますように。



ナコイ トオル


追記


続編であり過去編、『セントエルモの光跡』の投稿をはじめました。

願わくば、またそちらでお会い出来ますように。



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