第1-7話「作戦開始」
ピピピッピピピッピピッ…
ヒロからの通信を繋ぎ、A.Tたちはみんなモニターに目を向ける。
『ヒロ、首尾はどうだ。』
『ちょっとドジって警戒されてるが必要なデータは手に入れてきた。今からそっちに送る』
A.Tたちは送られてきたデータに目を通し、うなずく。
(この位置から推測して地下にいるな恐らく過去に造られた独房かなんかだろうな)
『OK確認した…ではこれより我々も潜入する。』
『隊長のお陰で少しは下がっているがまだまだ監視がきつくなっている見つからないように気を付けてくれよ』
『お前がミスらなければそんなことしなくてもすむんだがな』
『うっ…それは言わないでくださいよ俺としてもかなり反省してんですから』
『そうか了解した…ところでお前の後ろにいるのは誰だ?』
『前話したじゃないですか…彼は』
ヒロが言い切るより先に氷雨はモニターを切り替える。
『僕の名前は氷雨 霙。今日のここの監視『氷雨隊』の隊長をやらせてもらっている。よろしく』
『そ、そうかこちらこそよろしく頼む。さっそくだがあなたの指示で我々の通る道の監視を出来るだけ薄くしていただけないだろうか?』
『分かりましたではGWの装着をしないように言っておきます。』
『よろしく頼む』
『ですがどうにも最近入った新人は僕より神矢副社長のことを信用しているみたいなんですよ』
『神矢のことを?』
『はい』
『数は?』
『1人』
『へ?1人だけ?』
思ったよりも数が少なく素で聞くと氷雨はうなずく。
『…り、了解したでは我々はこれより中に潜入する。』
『健闘を祈ります。』
通信終了後、すぐさまA.T側も氷雨側も準備を始める。
『珍しいですね隊長があんなにペラペラと話すなんて』
『…彼のコードネーム』
『A.Tのことですか?いきなりどうかしたんですか』
『……いや、なんでもない』
『なにもったいぶるってんですか。何か彼のことで気になることでも?』
『いや、まだ分からない』
『そうですか。しっかしA.Tですか…確か大戦中GWを開発した博士もA.Tと呼ばれてたな。へへ、彼と何か関係あるんですかね』
笑いながら言うヒロに氷雨は短くため息をはく。
『まぁいいそれより傷はもういいのか?』
『ええ、もう痛みませんよ』
そう言いながらヒロは黒い眼帯を負傷した左目に着ける。
『黒か…』
『なんかいいしょ』
『ふ、ほら』
笑うヒロに氷雨も短く笑ったあと何か手渡す。
『なんだこれ、鉄のマスク?』
『高性能センサーつきのな。片目じゃ何かと不便だろう?一応…な』
『へぇー意外だな』
『なにが?』
『こんなことするなんてなにか裏がある気がしてならないんですが』
今すぐ警備のやつらをここに呼んでもいいんだぞ?』
『すいませんしたちょっとした冗談です。』
『はぁー、そんな暇があるならさっさといって手伝ってこい。』
『は!それでは隊長、行ってきます』
『…行ってこい』
二人は胸の前に拳を構えて短く敬礼するとヒロは部屋を後にした。
『…さて、裏口の警備を一部薄くするか。』
そう呟き、氷雨は施設内に放送を流す