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第1-3話「小さなトラブル」

「そろそろ交代の時間だ」

「了解(さて、これで今日の仕事は終わりか)」

氷雨隊新人である防人は見回りを終えて疲れ顔で男子更衣室に入る。

(今は…1時か、「毎日相手をしてやれ」って言われてたけどさすがにもう寝てるよな。)

ピロロン、ピロロン、

右腕につけた腕時計の針を見ながらそんなことを考えているとロッカーの中をある携帯がメールの着信音を鳴らす。

「まさか」

防人はすぐに携帯をとり、開ける。

未読受信メール20通

届いているメールの数に防人は慌ててボックスを開き内容を読み始める。

『今日は遊べますか?』『返信早く欲しいです』『まだですか?』『寂しいです』『ねえ…』『早く…』『まだ来ないのか』『早く返信しろ』『さっさとしやがれバカ防』…

(これは…かなりやばい)

段々と口調の荒くなっていくメールを読み、防人は着替えるのを止めて急ぎ足で彼女の部屋に向かう。

「リリス…まだ起きてるか?」

部屋の前に着き、そう言いながら三回扉をノックすると

バンッ!

「が!」

力強く開けられた扉に防人は顔面を強打して後ろに倒れる。

「おせーよ!このバーカ!」

鼻を抑えながら顔をあげるとそこにはサファイアの右目にシルバーの左目のオッドアイで空色の髪を地面すれすれまで伸ばした少女がつり上がった目に涙を溜めてパジャマ姿で仁王立ちしていた。

「あ、」

(頬にある涙の跡、ついさっきまで泣いていたんだな)

「悪かったな遅くなって最近は忙しくて今日もさっきまで仕事しててこれなかった……本当ごめんなリリー」

立ち上がり彼が謝ると彼女はうつむいて言う。

「ほん…に……よ」

「え?」

声が小さくよく聞こえなかった彼は何て言ったのか聞くと彼女は顔を赤らめジャンプして彼の顔に頭突きを食らわす。

「うぐ!」

再度体勢を崩し彼は尻餅をつき、その彼にリリーはビシッと人差し指を向ける。

「本当におせーんだよどんだけリリスが寂しがっていたかわかってんのか」

「ああ、その顔を見ればわかるよ……悪かったな待たせてリリスもリリーも」

そう言って彼はリリーの頭を優しく撫でる。

「わ、私は別に寂しいなんて」

「うそはつくなよリリスはリリー、リリーはリリスなんだから」

そう言うと彼女の銀色だった左目が右目と同じサファイアの色に変化し始める。

「う、うう……ごめん…なさい」

「うん、じゃあ遊ぼうか」

彼が微笑み言うと彼女の左目がサファイアに完全に変わりつり上がった目かおとなしくなる。

「うん、一緒に遊ぼ…(さき)お兄ちゃん」

リリスは微笑み、遊ぶために彼を部屋のなかに引き入れた。

(これは朝まで遊ばないと納得してもらえそうにないな、お風呂は別に入ったからいいんだけと……明日終わるまで持つかなぁ~?)

そんな彼女の後ろで彼は辛そうに息を吐いた。


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