1-20「会議」
1ヶ月後
A.T達は地上に人々を上げ終えた。
そして日本地区の国会を訪れ交渉、十番目の国を黙認めさせる。
A.T達は以前矢神達と戦った島を国の大部分を占める主な座標データとして送ったあと島に戻る。
十番目の国 ゼロの部屋(社長室)
「失礼します」
「やあ、よく来たね」
ゼロは落ちた筋肉のリハビリのために付けた補助装置のモーター音を鳴らしながら立ち上がる。
そして二人は隣にある六畳ほどのこじんまりした客室に入り、中央に置いてあるグレーのソファーに向かい合って腰かける。
「さて、早速だが本題に入ろうか」
A.Tは頷いて改造した机に触れ、机上に表示されたモニターの中からひとつのファイルを選択する。
部屋の照明が落ち、ホログラムで様々なGWの一部であるバックパック部分が浮かび上がる。
「これが今、私が製作を予定しているバックパックユニット。コアから放出されるエネルギーを微細な光粒子に変換し放出、これを推進材として飛行します」
「ふむ、微細な粒子か…体には害はないのか?」
「濃度や圧縮率によってはまだわからないが今のところ目立った害と言えば髪の色素が抜けていくこと…ですかね」
「色素が抜けていくのか…」
「はい」
「では私はその実験に立ち会うのは遠慮させていただこう」キッパリ
「何故です?」
とA.Tが聞くとゼロは両手で頭を押さえて言う。
「私は朽ちて死ぬまでこの髪をこの金髪を維持したい歳で白くなるのはまだしもそんなもので白髪になるなど私は断じて認めん!」
「いえ、そんなこといきなり言われましても…」
「なら中和だ。その毒性を打ち消す中和装置を造れ。じゃないと私は絶っ対に嫌だからな」
ゼロそう言いつつビシィとA.Tを指差す。
「皆のイメージ崩れるようなことを言わないでください」
A.T飽きれ顔でため息を吐くようにいうがゼロは真剣そのもので
「皆のイメージなど知ったことかぁ!!」
「言い切った!?」
「いいか、世の中にはびこる好意的なものはその思いを持つものがその対象を表面だけを知って完全に知らないから起こるものだ。知らないから人はそれにこうあってほしいと妄想し自分のなかにしまいこむ。そしてその妄想がいつしかその人なのだと言う確信変わり好意を抱く。結婚して離婚する人の大抵のケースがこういうものだ。わかったか?」
「いやいやいやいや、そんな力説語られましても知りませんよ!それに話がずれ始めています」
「そうか、では話を戻そう。他人のもつ私のイメージなのだが…」
「いえ、そこよりもう少し前です」
「…私は白髪になるのが嫌なわけなのだが…」
「惜しい!もう少し前です」
「では……私達の娘だ!」
「戻し過ぎだ!…いつの話ですか!?何でいきなりあなたの娘さんが産まれたときのあなたの叫び声なぞ聞かなきゃならないんですか!」
「違う!喜びの声だ」
「知りませんよ!ていうかなんで私はあなたのツッコミ役に回らなきゃならないんですか」
「それは私がボケてるからだろ?」
「自覚あるんですね」
「当たり前じゃないかそうでなければあんなぶっ飛んだ発言はしないよ」
「なら話を戻していいですか?」
「問題ない。このままでは収拾つかなくなりそうだからな」
「だったら初めからしないでくれ」
「すまないな」
◇
そして彼らは様々な対策案や対抗手段の討論をし計画に移る。
まだ彼らの戦いは始まったばかり。
ーーーーーーーーーーーENDーーーーーーーーーー




