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GW≪ウェポンズ・ギア≫「戦争という存在が人々の人生を歪ませた」  作者: 満天之新月
第1話「立場の違う様々な子供たち」

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1-19「取引」

アナロギア解析室

怪我をした氷雨隊の隊員たちを艦の治療室に運んでいる間A.Tはモニターを見つめて応急処置を終え、後ろの眠ってる防人の全ての状態を確認している。

「やっぱり…そうか頭の中の記憶(データ)が書き換えられてるのか。いや、正確にはふたをされてその上に付け足されている。と言うべきか…」

A.Tはそう呟き頭を掻く。

いっそ解いてしまうか?…いや、駄目だ。両親が目の前で矢神に殺された時の混乱、最悪精神崩壊をしかねない。

「さて、どうしたものか…」

A.Tが椅子に体重を預けて天井を見上げると大きく息を吐く。

同時にモニターが電波を受信し受信音が鳴る。

A.Tは机上に表示された受話器マークをタッチ、連絡を繋げる。 モニターに白衣を着た女子が映し出される。

「どうした?」

『お忙しいところ申し訳ありません。今、宜しかったでしょうか?』

「ああ、問題ない。何か用か?」

『ゼロさんが意識を取り戻しましたのでお早めにお耳に入れておこうと思いまして』

「…そうか了解した。氷雨隊にこの事は?」

『ええ、代表としてヒロさんが挨拶をに行きました。それからアーちゃんにも話しました』

≪アーちゃん≫

A.Tたちと一緒に工場を脱出した社長(ゼロ)の娘。名前の頭文字から取って女子の間で呼ばれているあだ名。

「了解した。これから会いに行く、人払いを頼めるか?」

『わかりました。すぐに行います』

「ああ、頼む」

A.Tは通信を終え、後ろのカプセルをチラリと見つめ目覚めないように催眠ガスの栓を僅かに開けてから部屋を出る。


「ここか…」

別に聞いたわけではないのだが後ろに立っている女性は答える。

「はい、中にはゼロさん以外誰も居ません」

「…了解」

A.Tは治療室のゼロのいる個室の扉を三回ノックし「入ってもらって構わない」と声が聞こえた後、中に入る。

「失礼します」

中に入ってすぐにA.Tは腕に点滴を上半身に心電図のパットを付けた金髪の男性と目が合う。

まだかなりやつれていた男性は恐らく微笑みたいのだろうが筋肉が衰えているために口を不格好に歪ませてから開く。

「やあ、君のことは娘やヒロ君から聞いた。私を助けてくれたそうだね。礼を言わせてもらう」

「い、いえ、…私は当然のことをしたまでです」

「そうかしこまることはない。君は私を助けてくれたつまりは命の恩人というわけだ」

「そうでもないですよ」

「そうなのかね?いや、わざわざ人払いまでして二人きりで話すと言うのには何か深い理由(わけ)があるのだと私は思ったのだが、考えすぎかな?」

「いえ、わかって頂けているのなら話は早い。無理を承知で頼みます。私…いえ私達にあなたの方から資金、資源の援助そして」

A.Tは息を吸いはっきりとした声で言う。

「我々に国を立ち上げさせていただきたい」

ゼロはその声に一瞬目を丸くしたがすぐに戻り、少々声色を強くして言う。

「…それが一体何を意味するのかわかって言っているのか?」

「はい」

「君の仲間は全員承諾しているのか?」

「ええ、以前からここにいたのは戦うことを心に決めたもの。まだ決められない人たちは上にあげるつもりです」

「成る程」

「考えていただけますか?」

「……。」

「……。」

それから1分二人は狭い個室で黙ってアイコンタクトをとり、そして…

「いいだろう。私の部下に国の上層部のパソコンのいじれる奴がいるそいつに連絡をしよう」

とゼロは静かに頷く。

「ありがとうございます」

「何、礼を言うのはこちらの方だ。しかし連絡する前に君の目的を聞かせてもらっていいかな?」

「あ、はい」

A.Tは下げた頭をあげて真っ直ぐ相手を見て答える。

「私の目的はこの世界に散らばったプラネットシリーズの回収そして戦争の完全根絶です」

「PSの回収そして戦争の根絶か。…成る程。しかし今この世に存在する国を敵に回して勝算は有るのか?」

「それに関してはこれを確認して頂きたい」

A.Tはポケットから小型タブPC(ちびタブ)を取りだすと設計データを開いてゼロに手渡す。

「これはGWのか………これは!?しかしこんなことが可能なのか?」

「ええ、結晶化現象それからルナのコアを直接調べることでこれは私の中で完成されました。相当な技術と資材を必要としますが、ね」

「確かにこれがもし実際に量産ラインに乗ることになれば世界はひっくり返るぞ」

「納得して頂けましたか?」

「確かにこれなら…しかしこれをどこから集める気だ?」

「何のためにあなたを助け出したと思っているのですか?」

「ふっ君は悪魔の使いか何かかな?」

「いえいえどちらかと言えば魔王ですかね」

「ふふふっあはははは!……はぁ…ふふっ面白い。確か今の頼みは国を立ち上げること…だったな?」

「はい」

「では今すぐに弩君に暗号データを送ろうではないか。すまないが通信室を貸していただけるかな?」

「わかりましたそれでは行きましょうか」

彼らはゆっくりと通信室へ向かい通信を終える。

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