1-12「休息」
しばらくして無事にアナロギアに戻ったA.T達は医療班にゼロを任せ、GWの整備とヒロの間に合わせだった補助センサーの改良まで残った三人は別々の個室でモニターを繋げ、話し合う。
『で、どうするの?』
「決まってるまずは矢神を取っ捕まえてこの孤島をゼロに返してやるさ」
『殺すとかじゃないんですね』
「当たり前だ。俺だってそこまで鬼じゃない。ちょーっと痛い目にあってもらいはするがな…てば作戦開始まで体を休めておけ」
『『了解』』
A.Tは壁のモニター回線を格納庫に切り替える。
「GWの補給はどうなっている?」
『エナジー補給はもう終わってます。ただ…』
そこまで言い、整備班の男は口ごもる。
「どうした?何でもいいから言ってみろ」
『あ、はい実はA.T…あなたのフィールド発生装置が割れてまして』
「な!?」
『…それで中の回線もボロボロに焼ききれて、その修復が不可能な状態です。』
「……。」
『あの…A.T?』
「すまない、壊れてるのは俺のだけか?」
『あ、はいそうですが…』
「分かった…では出撃までにそれ以外を完璧にしておいてくれ」
『は、はい…了解しました』
通信を切り、A.Tは頭をかきながらさっきのことを思い出す。
「うーん俺のだけ壊れているということは…あいつの一撃の時か、まさかフィールドが限界になるまで防ぎきれないとはな」
今度は回線を医務室のヒロに繋ぐ。
「すまない…今、いいか?」
『ええ、処理向上用の脳波の読み取りはこれからだったんで…それでどうしましたか?』
「我々がゼロを助けて戻るときカスタム化した量産GW に乗っていた奴がいただろ?」
『ん?…ああ、あのあなたが吹き飛ばした人ですか』
「そうだ。お前なら奴の事について何かわかるかと思ってな」
『すいません俺もよくは知りません』
「そうか」
『ただ、あなた方がここから脱走し…』
「脱出!俺らは好きであそこにいたわけではないからな」
『あーすいません。で、脱出した直後に新しく配属された奴で名前は「防人」これがどうも矢神に従順でしてね。噂ではナノマシンを俺たちの3倍の量を入れられているそうです』
「3倍か…」
『それで彼は矢神の娘の面倒をよく見てるみたいですよ』
「その情報は入らないが…有り難う助かった」
『いえ、それでは俺はこれで』
「ああ……ここに来る前の俺の遊び友達の名字も防人って言ったな」
回線を切り、暸はそう呟いた。




