1-9「命令」
『こちら氷雨、現在確認した侵入者は1名。校長室前のカメラが破壊されていることより誘拐もしくは殺害が目的だと思われる。警備配置データを今から送信するので駆け足で行くように。なお室内及びジャミング濃度が濃いためGWの使用は禁止する。…以上』
ピピッピピッ
防人は届いた警備配置データをすぐさま確認する。
(さてと、僕の場所は…?あれ、配置欄の中に名前がないな…地図だけ見ても分かるわけないし)
どうしようかと悩んでいると持っていた通信機に矢神からのコールが届く。
「あ、はいなんですか?」
『侵入者は恐らく地下へと向かったはずだ。今すぐ向かってくれ』
「地下?それってどこですか」
『ん、ああそういや話してなかったな…んじゃあこっちからデータを送信する』
「了解・・・」
『ああ?ああああああああああああああ!!』
「ッ!?」
しばらく待っていると通信機の向こうから耳を貫くような矢神の叫び声が届く。
「どうしましたか!?」
『いや、まぁなんというか重要データが消されててな』
「じゃあ地下への地図も…」
『いや、それは残ってる。から今から送る』
ピピピピッ
(?格納庫とは真逆なのか)
『届いたか?』
「え?あー、はい来て、確認しました」
『よし、それじゃあ直ぐに地下に向かってくれ…それからやつらを生かして私の元につれてこい。不届きものどもに制裁を直接加えてやる』
「は、はあ…ところでなんで地下だと分かるんですか?」
『……』
「あ、あの」
『それから中にはたぶんGWを使用している者もいるはずだお前もGWを着用してから向かってくれ』
「あ、はい了解しました今すぐ行きます」
『うん、頼んだぞ』
「は!…そらされた。聞いたらまずかったのかな」
さっき防人と話していたのは矢神現社長で数日前に姿を消したという前の社長の代理を務めている。
僕は彼に命を助けられ現在に至る。
「さてと」
格納庫についた防人は自分の IDカードを挿し込む。
『ID読み取り完了』
コンテナが開き、防人用に完全カスタム化された量産GWが姿を現す。
「……今日はよろしく頼む」
防人はGWを手で撫でたあと装甲を開けて乗り込む。
『GW起動、同乗者のバイタルスキャン…完了。エナジー配給コードをパージ…完了。活動可能時間は2時間です。注意してください』
「了解…さてと、地下…たぶん隠し扉のとこだなここからだと……?」
防人はここの見取り図を開き場所を確認する。
「少し…遠いな」
背中のバッテリーパッケージを残して移動速度を増加させるため複合装甲をパージする。
「さてと行きますか」
そう言いながら防人はコンテナ横に立て掛けて置いてある刀を腰の接続部に取り付ける。




