終焉のブレイクダウン
あれから数日のこと。
廃棄されたはずのドーリスのデータについてを部屋で探っていくうちに、父のしでかしたことの全貌を知ることになった。
父は最後まで人工知能の廃棄に反対し、拒絶していたらしい。
でも、世界はそれを許してはくれなかった。
そこで父は廃棄予定ちなってしまったロボットたちのデータを取り除き、この一体のロボットへと全て保管していた。
いつの日か、再び人工知能の存在が許される時まで。
「好きだったんだろうな、ロボットのこと。」
「ほんと、呆れるよな。そこまでやるなんて。」
部屋の前に立っていたのは、親戚のおじさんだった。
どうしよう。玄関の鍵、開いてたっけ。
「悪い、勝手に入ってきちまった。」
「あ、あの。このロボットは。」
「悪いが、お前の希望は聞くことはできない。このロボットについての情報が既にどっかで漏れたらしい。」
「えっ!?」
「廃棄しないと、お前が罪に問われることになるぞ。」
「で、でも私は。私にはできないよ。」
何体分のデータが入っているのだろうか。
そんなロボットを廃棄だなんて、そんなことできるはずがない。
なによりそのロボットは、もう私の家族の一員なのに。
「ねぇ、なんとかできないの!?」
「無茶を言うな!俺だって、できるものなら。」
悔しそうなおじさんの顔を見て、本当に無理なんだなと悟る。
それでもどうにかしたいと、ロボット方へ振り返った。
「…え?」
異常を知らせる赤色が目に入る。
装甲の一部一部が、破損し始めていた。
「緊急事態を認知。プログラムを破壊します。」
「なに、してるの。そんなの駄目だよ!」
「ーすまない、ミヨ。君にこの役目を背負わせる訳にはいかない。」
それは父の音声で。
サヨナラ、のメッセージと共にロボットは崩れ落ちていった。
「そんな。」
「あのバカ野郎。」
「勝手すぎるよ、こんなの…っ。」
人工知能のロボットがいたという証拠は消え去って。
残された私はただ、その欠片を眺めていた。