表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

始まりのノイズ

20XX年なんていうよりもずっと未来の話。


人類は技術を研き、多くの優れた機械を開発してきた。

しかしもちろん、高すぎる技術というものは人類に思わぬ牙を剥くことがある。


人々の暮らしを豊かにしてきた【人工知能のロボット】。

しかし、ある時に彼らの一部が反乱を起こして大事件を引き起こした。

それからは全国で人工知能の製作は中止され、人工知能が搭載された機械は全て廃棄処分となった。


だから、今の世の中には人工知能なんてものは無いしあってはならない。

ロボットは全て設定された通りに動き、独立した意識は持っていない。

その、はずだったのに。


「ココは?アナタは、ダレ?」


私の目の前で起動したロボットは、勝手にしゃべりだしていた。


「・・・え?」


起動してしまったロボットを目にして呆然と立ち尽くしていた私。

ロボットは現状把握をするためにか、相変わらず同じことを繰返し質問している。


「ココはドコ。アナタは、ダレ。」

「え?わ、私はミラよ。私の名前は、ミラ。」

「ミラ。」

「そしてここは、私の父の地下倉庫。」


そう、ここは私の家の地下。

唯一家族だった父がいなくなってから数日後、父の部屋の整理をしていたら地下室への隠し階段を発見したのだ。

電気をつけようとして押したスイッチで、どうやらこのロボットを起動させてしまったらしい。



だけど、まさか。自意識を持ったロボットを置いていたなんて。



「あなたは、本当に記憶がないの?どうしてここにいるのかも、誰に作られたかも、わからない?」


「ハイ。記憶力に該当するデータは発見できません。私に備わっている機能についても、障害がアリ、一部が仕様不可能となっていると思われます。」


「そっか。」


「私を起動したアナタには、わからないのですか?」


「うん。ごめんね。」




さて、困った。これからどうしたら良いんだろう。


心を持ったロボットは、存在してはならない。


だから彼は廃棄しないと、起動させてしまった私が重い罪にとわれることになってしまう。


それでも。




「ドウシましたか?」


「ねぇ、私の命令には従ってくれるんだよね?」


「私を起動させたあなたが主となるのであれば、ソノ通りです。」


「わかった。じゃあ、私があなたの主よ。」


「了解しました。」


「それで、主として命令したいんだけど。」






「ここから出てきちゃ駄目。隠れてて。私以外の誰にも、見つからないで。」


「わかりました。」




私には、廃棄なんてできなかった。



「どうすればいいんだろ。」



ひとまず情報端末を取り出した私に、ロボットは語りかけてきた。



「…もしかしてアナタは、犬がお嫌いでしょうか?」


「嫌いじゃないよ。昔は苦手だったけど。なんでそんなこと。」


「内部のデータから、アナタと似たデータがありましたので。」


「え、データって。」


「だいぶ昔のようですね。」



ミラ、3歳。犬が苦手。好物はミニドーナッツ。

ロボットが読み上げたそのデータは、私の知っているものだった。


人工知能がまだ、許されていた時代の。



「…なんで、ドーリスの記憶を持ってるの?」



それは、私の昔の友達。

ロボットのドーリスの持っていたデータだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ