好き-4-
--桃side--
ベッドに転がって、枕を顔の上に載せた。
スズモトは―――。
その後に続けたかった言葉がいくつも頭に浮かぶ。
―――オレの気持ちなんか、わかってくれない。
―――なんで、オレと付き合ってんの?
―――オレのこと、好き?
オレがスズモトのことを好きなんだから、それでいいと思ってた。
好きって言われたことがなくったって、一緒に帰ってるんだから、付き合ってるんだから、スズモトはオレのもんだって思ってた。
だけど、スズモトは会長を名前で呼んで、オレのことは呼んでくれない。
中学の頃から、スズモトは頭が良くて優しいやつが好きなんだって、知ってた。
オレのことタイプじゃないって知ってた。
オレはスズモトの頭なでるのもやっとだったのに、そんな境界線をあいつはあっさり越えてた。
スズモトもふんわり笑ってた。
生徒会、楽しいって言ってた。
それって、さあ。
誰のおかげで楽しいの? 会長がいるから楽しいの?
スズモトが最近よく笑うようになった。生徒会つながりで友達ができたようだった。それは素直に、嬉しい。だけど、全部、オレに関係ないよね。
嫌がらせ止まったのだって、あいつのおかげだよね。
そんであいつ、スズモトのこと好きなんだよ。
―――スズモトは、オレのこと、好き?
聞けばよかった。聞かなくて良かった。
狭間で揺れて、考えたって仕方ない。
どうしようもないまま、その日は眠った。
次の日、部活後に迎えに行けば、教室にも図書室にもスズモトはいなかった。
やっぱ、生徒会室か。
足が重くなる。
「あー……」
うめいて、それでもどうにか生徒会室まで行った。
扉についている小窓から少しだけ覗けば、スズモトは昨日と同じようにノートパソコンに向かっていた。
笑って、女子と話をしていた。途中から生徒会長が加わった。
スズモトは楽しそうだった。
それを見たら、なんかもう、耐えられなくて。
諦めろってことか、と。
スズモトは友達もできて会長も守ってくれて、もう大丈夫だから、だから俺は諦めろ離れろって、そういうことか、って。
生徒会室の扉を開けられずに、引き返した。
自分の意志でスズモトと一緒に帰らないなんて、何年ぶりだろ。
むしろこれまで続いたことが奇跡だ。もう諦めろ。自分に言い聞かせて、一人で帰った。




