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好き-2-

--生徒会長side--


「ちょっと、会長」

 最終下校時刻の夜8時になり、生徒会室の鍵を閉めて職員室に返しに行く途中、沢野に険のある声で呼ばれた。

「んー?」

 心当たりはあるものの、のんびり返す。

「やりすぎでしょ。モモの目の前でスズちゃんに触るなんて。わざとでしょ」

「なに、沢野も誉めてほしいの? はい、えらいえらい」

 鍵を持ったのと逆の手で、ぽん、と沢野の頭をなでた。

「いるか」

 邪険に手を振り払われる。

「しかもスズちゃんにだけ名前で呼ばせて、どういうつもり?」

 どういうって。

 問いつめる沢野に、余裕で返す。 

「好きな子には名前で呼ばれたいじゃん」

 アキラくん、と呼んだ声を思い出して笑う。

「見た? 桃井の顔。すんごく嫌そうだった」

「サイアク」

 沢野が吐き捨てる。

「ほんと、やめてよ。スズちゃんが手伝ってくれないと効率化できないよ。この調子じゃモモがスズちゃんに生徒会手伝うのやめろってストップかけるよ。最近の会長って、どうしたの?」

 鈴本さんが生徒会を手伝ってくれるようになった。そのおかげで、日々の忙しさ故に手をつけられなかった、生徒会業務の効率化が少しずつ進んでいる。

「あの有能ぶりをみたら、ますます欲しくなってさぁ。いっそ俺のものにならないかな、と思って。だから、本気で手ぇ出そうかな、と」

 正直な気持ちを言うと、沢野が呆れて俺を見た。

「無理でしょ。あのふたりに割って入るなんて」

「だよなぁ」

 知ってるよ、そんなこと。

「でも欲しいんだからしょうがないじゃん。足掻いたっていいじゃん?」

 あの番犬―――桃井に勝てる確率、5パーセント。

 真野先輩の見積もり、覆してやる。

「かっこわるくてもさ、ぶん獲った者勝ちだろ」

鈴本さんの静かな世界に少しずつ入って、好感度を積み上げて、気づいたら番犬に勝っている。そんな状況を目指している。

「やめてよ。ていうか、やめなよ。会長が傷つくだけだよ」

 沢野が心配そうに言う。

「やってみなきゃわかんないよ」

 俺はせいぜい強がって、笑って見せた。

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