セルリアンタワー殺人事件 1
神ノ木、芳形両刑事が帰宅した後も初動捜査は続いていました。
今回は、粟飯原刑事視点です。
昨日発生したセルリアンタワー殺人事件の初動捜査が終わったのは夜中のことだった。テルさんが着替えを取りに帰路に着くのを見届けて、夜勤当番の俺は署に戻った。
12階の刑事課は電気は付いていたもののもぬけの殻になっていた、恐らく皆仮眠室だろう。
ここに来て1年、まさか殺人事件が起きるとは…、クソ、眠れやしねぇ。捜査一課にいたときは当たり前のようだったが、俺も平和ボケしたか。いや、眠れなかったのは過去に3回だけだったな。。。
最初は新潟の起捜にいた時だった。それまでも刑事だったとはいえ北海道の片田舎だったので大した事件も無かったせいかギャップが激しかったな…。見るもの全て新鮮でテンション上がりっぱなしで空回りしてた。そういえばはじめての殺人事件だっていうひかるも、今日配属になった神ノ木ってキャリアも今頃眠れないでいやがるかもな・・・。
2回目は…新宿にいた時だったか、亜細亜街に踏み込んだ時俺ははじめて人を撃った。事件解決した夜に、これは極秘情報と言われ妻のメグにも言えず一人ベランダでタバコ吸いながら悶々としてた・・・。
そして3回目、忘れもしないあの事件。この渋谷西署管内で起きた殺人事件だ。俺は捜査一課の管理官として、特捜本部にいた。メグはここの所轄の刑事だった。マークシティ付近を聞き込みしていたとき、メグが銃弾に倒れた。心臓を一発、即死だった。鑑識の結果、追っていた被疑者の弾丸と一致した。しかし警察官服務規程では身内が被害者の場合は捜査を外れなければならないとあり、当然俺は捜査から外された。結局被疑者は見つからず特捜本部は解散。普通なら大幅な降格人事なのだが俺はメグがいたこの所轄に転属願いを出し、半年後にここに赴任した。この事情を知っていたテルさんも歓迎してくれたっけな・・・。
そんなことを思い返していたら東の空が明るくなってきた。3時間ぐらいだが仮眠を取ることにした。
・・・・・・
俺が目を覚ますと神ノ木とひかるがもう出勤していた。二人ともあまり寝れなかったらしく朝からテンションが高い。
「今日、僕が刑事として華々しくデビューする日なんですねぇ」
「ちょっと、緊張感ないわねぇ全く!」
…やれやれだ。
第一回の捜査会議が始まるので、俺達は会議室に向かった。
事件を解決したときに、刑事も傷つくことがあると聞いたことがあります。
今回はその触りの部分でした。
(若い刑事にはまだ無いたんこぶってやつです)