渋谷の九龍城砦 3
楠管理官と神ノ木君が九龍城砦にいたころ、別の傷害事件の被疑者をおっています。
今回は、粟飯原さん視点です。
管理官が言っていた九龍城砦にいるという情報も捨てがたいが、まだ潜伏しているときまった訳じゃない。とりあえずそっちは耀さんに任せて、俺は先日起きた傷害事件の被疑者「金井」を追っていた。情報によると、ラブホ街にいるというので対象のホテルに向かった。
受付を通り過ぎたところで聞き覚えのある声がした。
「お〜い」
振り返るとそこに居たのは・・・美果だった。
「金井を追ってるんでしょ?でもあたし先約だから」
「おいおい・・・お前は少女売春摘発してるんじゃなかったのかよ・・・金井は関係ないだろ」
「実はですねぇ・・・あたしが用あるのは女の方。ちょっと聞きたい事があって。あたしはそれだけ知ればいいから、平良はあんたが逮捕したらいいじゃない」
相変わらず飄々としてやがる・・・それならさっさと引きずり出すまでだ。
「美果、金井はどこの部屋だ」
「待ってあげなさいよ・・・今入ったばかりなんだから。懲役で最低3年は食らい込む事になるでしょ?その間女っ気無しなのよ」
待つだと?被疑者に情けをかけようってのか・・・まったく・・・
「で、一緒にいる女ってどんな奴なんだ」
「え?三軒茶屋あたりの女子大生よ。あそこはお嬢様学校とばっかり思ってたけど、最近はそういうのが多いみたい」
「お嬢様がねぇ…たしかあそこは女子大じゃなかったか?サークルとか共学の大学が入り込んでいるのは知っているけどなぁ」
そういえば、俺たちがいた大学にも女子大生が出入りしてた。
「それで、その女子大生を任意で引っ張って元締めを探そうって言うこと」
「なるほどな。…ってお前それじゃ尚更すぐ行かなきゃイカンだろ」
「実際に行為に及んだ証拠があれば、引っ張りやすいわ」
たしかにそうだ。逃げられてしまっては元も子もないだろうからな。
・・・3時間後、金井が女と出てきた。俺は金井に近づいた。
「スッキリした顔しやがって・・・俺が情けをかけるとは思わなかったよ」
逃げようとしたので丹田に前蹴りを入れ、ひるんだところで手錠をかけた。
女が逃げようとしたが、そっちは既に美果が取り押さえていた。
二人を外に連れ出したら突然銃声がして、金井が撃たれていた。
「そこ動かないで」
女を俺の車に乗せ、俺と美果は拳銃を構え後を追ったが、既にいなくなった後だった。
俺としたことがとんだ失態だ。とりあえず、女と美果を乗せ、署に戻った。
この部分はちょっと短くなりました。
次回はもうちょっと長くできるかな?