道玄坂の暗雲 3
さて、パトロールに向かった二人はどうしていたのでしょうか?
今回は、神ノ木君視点です。
日曜日ということもあってセンター街はごった返していた。
「依藤さん、ここはいつもこんな感じなんですか?」
「そうよ、今日はまたすいてるほうかも。夏休み当たりは身動き取れないのよ」
そんなこんなで依藤さんを追いかけていたらファーストフード店の前で立ち止まった。
「依藤さ〜ん、さっき面白い話聞いたんだけど〜」
ぱっと振り向いたら女子高生が3人こっちに来た、いったい何をする気なんだ?
「あらぁあんたたち今日も来てたの?中間試験前じゃないの?」
依藤さんも慣れたもんだ。学校の試験期間まで把握しちゃってる。
「まだ2週間後だから大丈夫!でねでね、面白い話っていうのは、昨日からドンキの前当たりで最近騒いでる奴がいるのよ。そいつら『気合い!』って言って暴れ回ってるって。同じ色のカッコして。」
「それのどこが面白い話よ!ちゃんとおまわりさんには言ったの?」
「誰かが通報してくれたみたい、何人かおまわりさんが来たんだけどそれから3時間ぐらいもめてたなぁ・・・。」
・・・・・・僕もそんな光景見た事があるなぁ、学生時代狸小路で飲んでたら冬場にそんなのがいたなぁ。違うと思うけど一応聞いてみた。
「ねぇ依藤さん、東京にも徒歩暴走族っているんですか?」
「何その徒歩暴走族って?最近若い子たちにはやっているのかしら、あんたたち知ってる?」
依藤さんは女子高生に尋ねる。
「しらな〜い、『徒歩』なのに『暴走族』ってありえなくね?ってか依藤さんコイツダレ?」
「あぁ、先週から配属された刑事課の神ノ木君。今日はあたしのお手伝い」
「エェマジ?」
「刑事に見えないんですけどぉ」
「どう見てもお坊ちゃんだよねぇ・・・。」
・・・あぁ、言われ放題だ・・・だから佐波さんここに来るのいやがるんだなぁ・・・。
しょーがない。警察手帳を見せて黙らせるか。
「本当に刑事です。渋谷西署刑事課強行犯係の神ノ木です!」
「あ・・・ガチ刑事だったんだ・・・。」
「え・・・警部補??」
「やば〜い、ウチら捕まっちゃうんじゃね?」
逆効果だった・・・。依藤さんに突っ込まれる
「あんたいきなり警察手帳は無いでしょ?この子たちは被疑者じゃないの!」
「す・・・すいません」
「や〜い、怒られてやんの〜」
全く最近の女子高生は口が減らないなぁ・・・
「ってかさぁ、神ノ木さんってクラブとか行った事ある?」
「いや、東京来て半年たつけどないなぁ」
「最近、よくない噂あんだよね。ウチらはやってないけど、覚せい剤の温床になってるって」
「そうそう、先週も1件検挙されてた。でもあんなの氷山の一角なんだって?」
ちょっとまて、渋谷ってそんな恐ろしい街だったのか?
「覚せい剤・・・?依藤さん!」
「警察が覚せい剤でおびえてるんじゃないの!こういう情報を得る為にウチの刑事はこうやってパトロールしてるんだから・・・。」
そうこう話しているうちに、キャバクラの客引きっぽいのが僕に近づいてきた。
「あの〜、警察の方ですか?」
「あぁ、そうだけど?」
「なんか近くの店最近おかしいんですよね・・・したにボディーガードみたいなのつけてお客さんを脅しているというか・・・。何が行われているのでしょうか?」
「ボディーガード付けてがっちり?なんか怪しいですね。そのお店の名前教えてもらえますか?」
「道玄坂にありますNewClub Muleです。」
「分かりました、ご協力感謝します」
「依藤さん、こっちに情報が入りました。道玄坂のMuleで怪しい動きがあるって、後で行ってみましょう。」
「あたしはやぁよ。後で佐波に行かせる。あ、ちょっと待って、署から留守電だ」
・・・・・・
暫く待ってると課長代理がこっちに来た。
「おう、神ノ木、ご苦労だったな。お前は戻っていいぞ、後は俺がやる」
「係長、いったいどうしたんですか・・・。」
「いやぁ、いつも皆に手伝わせて俺が動かないものなんだと思ってな」
係長が変わってくれるというので僕は署に戻る事にした。
さて、粟飯原刑事と依藤刑事が合流。
どんな結果になるのでしょうか?