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Nice Fight!〜違う道が1つになって同じ夢を見ていた〜  作者: livingdead


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混成TEAM Thailand!

唐河中央高校体育館がなんとなくスパイシーな空気に包まれている。


TEAM Thailand御一行がウォーミングアップを始めていたのである。


先のCUBAチームにも劣らぬ大所帯で来日したTEAM Thailandはやはりムエタイ上がりの選手が多い様子で、中には日本の格闘技番組で見かけたことのあるような選手も何人か混ざっていた。


そして全体的に見た目がいかつく、文化の違いもあるのだろうが、全身タトゥーだらけの選手も多かった。


前日の夜に唐河県入りした国教大附属チームはそれを目の当たりにして同じことを考えていた。


(これ絶対ジュニアチームじゃないでしょ?)


TEAM Thailand招聘の主体になったのはアマチュアボクシング関係ではなく沿岸ブロックのローカルイベント会社で、日本のチームとの試合をローカルCATVで放映すると言った実にざっくりした企画で、請け負ってしまった沿岸ブロックボクシング連盟関係者も色々と頭を抱えていた。


その年齢不明のチーム編成もそうだが、とかく何かにつけてゆるゆるで、今回世話役となった唐河県ボクシング連盟関係者は例外なく、その適当ぶりに振り回されていたのだった。


わずか2週間足らず会わないうちにすっかりげっそりとした唐河中央高校ボクシング部監督の黒木達也を見て


(薙沢県で受けてたらえらいことになるところだった)


と、胸をなで下ろす西木 匠だった。


げっそりしてるとはいえ、黒木は思いのほか元気そうで、笑顔を浮かべてこう言った。


「Thailandの連中とイベント会社の適当さには参りましたけど、おかげさまでここ最近の面倒ごとの気が紛れて良かったですよ。多満井(たまい)たちも当分の間は身動きが取れないでしょうしね」


黒木が言っているのは多満井の一派らしき男たちが塩崎を拉致監禁して暴行を加えている動画がSNS上に流出した件だった。


当然のように大炎上し、実名が晒された塩崎のラインから加害者側の情報が特定されてWebで公開される騒ぎになっていた。


加害者側が気付いた時には動画を拡散したアカウントはすでに痕跡もなく削除されており、どうすることもできない状態だったという。


「平城山体育大学ボクシング部OBが関与していた事が芋づる式に発覚しましてね、これまで一連の多満井一派の行動、言動も踏まえ日連も動くとの事です。どのような裁定になるかは分かりませんが、今までのように多満井たちが好き勝手はできなくなるでしょうね」


そう言って黒木がちらりと見た視線の先には、一ヶ所に固まって険しい顔で何事か話し込んでいる多満井の取り巻きたち数人がいた。


「この試合でおかしな事が起きないと良いですね」


おかしな逆恨みから生徒たちも含めて散々ターゲットにされ続けてきた国教大附属の面々。


ほとんど自滅に近い形で社会的制裁を受けることになるであろう多満井穐比子(たまいときひこ)とその仲間たちだが、結果ますますの逆恨みを買うことは避けられないと予感しており、それが西木の表情を曇らせていた。


TEAM Thailandの選手団は案の定、ジュニアチームではなく、ジュニアとシニアが混在した、ほとんどがムエタイ出身のチームだった。


イベント会社の確認があまりにも雑で、どう見ても成人にしか見えない選手の扱いについてどうしたものかと唐河県ボクシング連盟の理事たちは頭を悩ませていた。


ただ、彼らの動きを見て試合そのものはやっても問題がないという結論に達したようである。


審判員ミーティングが急遽開かれ、特にTEAM Thailandの選手たちを必要以上に危険にさらさないようにするため、レベル差の激しい試合は展開次第で早めにストップするように申し合わせがなされた。


特に地御前(じごぜん)と梶川(かじかわ)の試合である。


この時、多満井の取り巻き、すなわち平城山体育大学OB数名がTEAM Thailandの集合場所に近づいて行くのに気づいた者はいなかった。

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