表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

4:瑠偉

 今一番売れていると言っても過言では無いアイドルのルイ、本名は瑠偉。瑠偉はメディアには絶対に知られてはいけない秘密を抱えていた。

 自殺願望があることだ。

 自殺願望があるアイドルなんて売れるわけがない。しかし、それを公表して野垂れ死ねるほどの勇気もない。取材の度に答える、『ファンの皆さんのため』という言葉。アイドルを始めたばかりの頃は本気で思っていたりもしたが、今は上辺だけになってしまった。

 売れれば売れるほど、世間から求められる理想は高くなっていく。そしてそれに応えようとするほど、瑠偉の心はすり減っていった。

 キラキラとした芸能界に憧れてしまった幼少期の瑠偉。今となってはなんでこんなものに憧れていたのか、不思議でしかない。

 ファンの人やスタッフはもちろん、グループのメンバーにすらも暗い顔を見せることは許されない。それだけに、瑠偉にとっての『グラデーション』で得た共感者たちの存在は大きかった。

 詳しいことは知らないが、それぞれに事情があって自殺願望がある。瑠偉と同じく、自殺願望があるのだ。そのことが瑠偉にとっては何よりも嬉しかった。今や瑠偉には四人もの理解者がいるというその事実が、瑠偉がまだこの世にいる理由だった。

 他の四人は、瑠偉の言葉をよく聞いてくれる。相談にだって乗ってくれる。仕事で詰まれば、解決策が出るまで付き合ってくれる。いつしか瑠偉の居場所は、昔から一緒にいるアイドルグループではなく、数ヶ月前に出会ったばかりの見ず知らずの人間とのグループチャットになっていた。

 誰にも気付かれることなく、瑠偉はこの四人とのあの世での生活を夢見ていた。アカリがよく言う、五人だけの世界。そんな世界があったらどれほど幸せだろう。どれほど楽だろう。

 瑠偉は毎晩夢の中で四人と遊び、はしゃぎ、語り尽くす。そして目覚めるたび、ため息をこぼしてベッドから起き上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ