1:朱里
朱里は今、スマホを前にして心底感動していた。インターネットというのはこんなにも様々な人がいるのか。こんなにも沢山の事が可能なのか。
今目の前にあるスマホに表示されているそれは、とある人達とのやり取りである。内容をざっくりまとめると、自殺について。いわゆる集団自殺、心中、なんて呼ばれるものだろう。
うだつの上がらない生活、親や学校からの大学受験に対するプレッシャー、クラスメイトからの虐め。なぜ生きる必要があるのだろうか。生きる意味がどこにあると言うのだ。そんな疑問の中出会ったのが、このグループチャットに所属している四人である。
このグループチャットに所属しているのは、朱里を含めて五人。職業も年齢もバラバラ。朱里以外は全員男性だが、それでもここは朱里の唯一の居場所だった。
公立中学で教師をしている『サトル』、売れっ子アイドルの『ルイ』、とある会社の営業の『ユウキ』、今話題の小説家である『カイト』、そしてただのしがない女子高生の『アカリ』。それぞれ三十五歳、三十歳、二十七歳、二十五歳、十八歳。
朱里だけ歳が離れているが、それが逆に朱里にとっては心地よい。顔も本名も知らないし特に深入りもしないけれど、お互いがお互いを信頼していた。
それぞれに自殺への動機がある。朱里には細かいことは分からないけれど、全員が深い傷を負っているのだけは理解していた。
いつかこの五人で、五人だけの世界に行こう。そんな会話が朱里の手元で繰り広げられている。
そんなことが出来たらどれだけ素敵だろう。この辛さや苦しさから逃れて、世界で一番信頼出来るこの四人と一緒に死ねたらどれだけ良いだろう。そんな素敵な最期を思い浮かべながら、窓の外の赤い空を見詰めていた。




