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能力測定



「なぁ健人。お前が最近ハマってるってゲームそんなに面白いのか?」

 

猪ケ倉城との戦いから五日が経ち、平日の金曜日。まだ学生の荒道健人は学校で中学からの友人の才川 慶と仲良く昼食をとっていた。

「どうしたんだよ急に……。」


「いやさ、お前がいなくなってから部活に張合いがないんだよ。元々有名なお前がいたから入った部活だったし、俺もやめて、そのミリオンウォーズ?ってのやってみようかなって。」


「まっいいんじゃね?実際あのゲームは超楽しいぞ。色んな武器を使うことができるし。何よりどんなゲームより実践的だ。」


「そんなに面白いなら、帰りに買って帰るか……」


「買うのはいいけど能力測定しないとゲームをプレイできないぞ。俺も今月はまだだから明日一緒に行くか?」


 フルダイブゲームが一斉を風靡し始めた頃、ある日問題が発生した。ゲームのステータスを上げることで現実より速く力強く体を動かすことができた、フルダイブゲームだったが、それにより現実との乖離により感覚障害になるプレイヤーが後を絶たなかった。


 それを問題視したゲームハード制作会社が協力し新たに生まれたのがリアルリンクシステム。一ヶ月に一回プレイヤーは各地に配置された建物で三十分ほどの能力チェックをクリアしてゲームに反映することになった。


 リアルリンクシステムにより、感覚障害になるプレイヤーはいなくなり。ゲーマーは昔より少し健康な人が増えた。


 翌日、健人と慶は共に能力測定のできるドーム状の建物へとやってきた。

「いらっしゃいませ!って健人くんじゃん!隣はお友達?」


「ハルさん、こんにちは。慶と俺の二部屋お願いします。」


「二部屋ね、OKわかった。けどその前に君は登録がまだだよね?」


「はい。登録料ってかかったりします?」


「かからないから安心してね。この紙に名前と住所それから電話番号にメールアドレスを記入してね。」


 慶が記入し終わると、健人たちはそれぞれ別の部屋へと案内された。部屋の中には様々な器具が置かれていて、器具を使うことで身体能力を計測していく。


 健人は慣れていることもあり、三十分で終わったが慶はまだ終わっていないようだ。

「お疲れ健人くん。水分補給はしっかりしなよ。」


 健人が部屋を出て受付へ向かうと、ハルが雑誌を読みながらせんべいを頬張っていた。

「相変わらず適当な接客ですね。」


「私は客に取り繕わないって決めてるの!」


 (ドヤ顔で言うことなのか……)


「それより健人くん、君ってmillionwarsのプレイヤーだったよね?」


「そうですけど、どうかしました?」


「これ見て!今から五ヶ月後、世界大会やるみたいだよ!各国のサーバーから五名のプレイヤーが選ばれて腕を競う!まだ国の代表がどうやって選ばれるか分からないけど健人くんも選ばれるといいね!」


 millionwarsは各国に専用のサーバー用意されており。サーバーごとに世界観や武器、防具、システムが違うものを用意されている。

 (剣道の天才って言われてた頃が懐かしい……millionwarsを遊んで所詮俺は井の中の蛙だと分からされた……。)


「健人終わったから早く帰って一緒に遊ぼう!俺、久しぶりにお前と戦えるの楽しみだ!」


 健人と慶は待ち合わせ場所を決め、ゲームの中で合流することを決めて、急いで家に帰りゲームを起動した。


 このゲームの世界は日本をだいたい十分の一にした程度の大きさで、ハードに搭載されている位置情報機能によりゲーム開始の場所はだいたい決められている。


「剣崎〜!こっちだこっち!」


 待ち合わせの場所で、やけに目立つ髪色をした男が剣崎の名前を呼んでいた。

「恥ずかしいから、あまり大声で呼ばないでくれ。」


 慶 改め隼を馬の背に乗せ剣崎は天鷲城へと戻った。

「へ〜ここがお前が所属する城ねぇ。」


 九条に挨拶に行く前に剣崎が少し城の中の案内をしていると背後から突然、頭に衝撃が走り、剣崎の頭部のHPが少し削れた。

「剣崎〜。あんた昨日私を差し置いて攻城の先行部隊に参加したんだって〜。これは灸を据えてやる必要がありそうね。」


「って結衣さん!昨日のは結衣さんがいなかったからしょうがないでしょ!俺悪くないですって!」


「問答無用!むしゃくしゃしてるから私の相手になってもらうわ!ってあれ?隣の子は初めて見る子ね新人さん?」


「剣崎のリア友の隼です。剣崎がいつもお世話になっております。」


「おい!」


「剣崎よりもずっといい子そうじゃない。もしかして案内の途中だった?」


「そうですよ……」


「あははは、お邪魔しちゃったみたいね!今から九条さんに会いに行くんでしょ?じゃあ終わったら隼くん私と一戦やってみない?」


「いいんですか!」


「隼この人はやめとけ!」


「剣崎〜それはどういうことかな?」


「だって結衣さん手加減を知らないじゃないですか!」


「それの何が悪いのよ。」


「剣崎、俺は大丈夫。というか結衣さんとお近づきになるチャンスを潰さないで欲しい。」


「あら、じゃあ九条さんとのお話が終わったら訓練場に連れてきてね。それじゃまた後で。」


「隼、俺は止めたからな……」


 剣崎と隼は女性プレイヤーの結衣と戦う約束をして、九条の元へと挨拶に向かった。

「はじめまして!剣崎のリア友の隼といいます!リアルでは剣道でそれなりにいい所までいってました。よろしくお願いします!」


 挨拶へ向かった、御殿の中には九条だけではなく幹部が全員集まっていて、隼だけではなく同席した剣崎までもが緊張していた。

「よろしくね隼くん。僕はこの城の城主をしている九条です。城主だからと遠慮せずに気軽になんでも聞いてね。」


「それで隣の大きい人が勇さん。勇さんには副城主をやってもらっていて、新人さんの戦闘訓練も請け負ってくれてるよ。」


「よろしく頼む。」


「それから、こっちのむっつりスケベそうなのが指揮官の杉下さん。杉下さんは僕の考えを戦場に投影してくれる、天鷲城の要ともいえる人だよ。」


「むっつりスケベではない杉下です。よろしくお願いします。」


「そして最後が外交官の萩村さん。萩村さんは……えーと……特徴がないのが特徴だよ!」


「隼くん、この人の弱点見つけたら俺に教えてね。言い値で買うから。」


「とっまぁ、以上で天鷲城の頼れる幹部の自己紹介を終わります!何か聞きたいことはあるかい?」


「大丈夫です!これからよろしくお願いします!」


「こちらこそよろしくね。ところで剣崎くん、隼くんのこの後の予定は決まってる?」


「……結衣さんと手合わせの約束をしています。」


「あー……ご愁傷さまとだけ言っておくよ。隼くん……めげちゃダメだよ!」


「なぁ剣崎。俺、少し不安になってきたんだが。」


 九条の酷い自己紹介が終わり、剣崎と隼は結衣との手合わせに訓練場へと向かった。

 

 

 


 


 

 


 

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