第5章 デバッグ? 修正地獄の始まり
おっきーは、「ビジュアル・コード」を使ってさまざまな魔法を組み立てられるようになり、ミッションでも少しずつ成果を上げていた。次の訓練は、複雑なコードを用いた「防御システムの構築」だ。レイから渡されたコードサンプルを元に、防御用のシールドを組み立て、実行する手順が与えられた。
おっきーはサンプルを画面に配置し、色とりどりのブロックを繋げて「シールド発動」のコードを完成させた。しかし、「実行」ボタンを押した瞬間、システムにエラーメッセージが表示された。
エラー:不明な魔力ブロックが検出されました
「え?どこが間違ったんだろう……」
画面には見たこともない「エラー」が赤い文字で点滅している。おっきーは焦りつつも、再度コードを見直す。最初は緊張していたが、再びエラーメッセージが出る度に頭が真っ白になり、どこが間違っているのかさえ見当がつかなくなってきた。
「何度やっても動かない……」
そんな様子を見かねて、アイリがやってきた。「どうしたの?コードが動かないみたいだけど……」
「うん、何度も確認してるんだけど、エラーが出ちゃって……」
アイリはおっきーのコードを見て、ふむふむと頷いた。「なるほどね。ここで必要なのは『デバッグ』だよ」
「デバッグ?それって何?」
アイリは説明を始めた。「デバッグっていうのは、コードのミスやエラーを見つけて修正する作業のこと。プログラムがうまく動かないときにどこが悪いのかを見つけて、ひとつずつ直していくんだ」
「なるほど、そういうことか。でも、どこから手をつけたらいいのか分からないよ」
アイリは笑顔でうなずき、「じゃあ、最初に基本的なポイントを一緒に見てみようか」と言いながら、コードをひとつひとつ確認し始めた。
まず最初に気づいたのは、「マナ」を消費するブロックが足りていないことだった。シールド発動の魔法は、マナを消費することで起動するが、そのブロックが抜けていたのだ。
「ここにマナ消費のブロックがないから、シールドが発動しないみたいだよ」
おっきーはアイリに言われた通りにブロックを追加してみると、今度は少し前進した。しかし、実行してみると、今度は別のエラーが発生する。
エラー:無効な範囲指定が見つかりました
「まだダメか……」
アイリは励ますように言った。「デバッグって、修正してもまた新しい問題が出ることが多いんだ。だから、少しずつ直していくしかないの。でも、焦らずにやれば必ず解決できるよ!」
こうしておっきーは、アイリの助けを借りながらコードを修正し続けた。エラーが出るたびに原因を探し、少しずつ進んでいく。しかし、デバッグ作業は思った以上に時間と根気がいる作業で、終わりが見えない地獄のようだった。
3時間後
やっとのことでコードがエラーなく通るようになり、シールドが見事に発動した。おっきーは疲れ果てたが、それでも達成感で胸がいっぱいだった。
「やっとできた……!」
アイリは拍手をしながら微笑んだ。「お疲れ様!デバッグは大変だけど、ちゃんと直せた時の達成感は格別だよね。これからもっと複雑なミッションでも、この経験がきっと役立つはずだよ」
おっきーは大きくうなずき、アイリに感謝した。デバッグ作業を通じて、彼は「ミスを修正する力」もまた、立派な技術だと実感した。この経験は必ず、これからの冒険で大きな力になるだろうと、心に誓うのだった。