第2章 魔王討伐ミッションの謎
Do! Kids Labのギルドに案内された大崎は、建物の奥深くにある広い部屋へと通された。部屋には奇妙な装置が並び、壁には無数のブロックと図が描かれた巨大なボードが立てかけられている。ギルドのメンバーたちは、色と形の異なる「魔法のブロック」を次々と組み合わせて何かを発動させているようだった。
「よく来たな、新人」
背後から声がして振り返ると、細身で知的な雰囲気の青年が立っていた。彼は冷静な眼差しでおっきーを見つめ、軽く顎を引いて挨拶した。
「君が大崎か?俺はこのギルドのリーダー、レイだ。ここ、Do! Kids Labでは、魔王討伐のためのコード開発を行っている」
「はい!よろしくお願いします!」おっきーは緊張しながらも元気よく返事をした。
レイはうなずき、そばのテーブルに広げられた書類を手に取りながら説明を始めた。「まず、魔王討伐ミッションについて簡単に説明する。このミッションは、単に戦って魔王を倒すだけじゃない。頭を使う厄介な任務だ」
書類には複雑な図や矢印が描かれていて、「魔王システム」「セキュリティ層」「認証の壁」といった不穏な単語が並んでいる。おっきーはその内容に戸惑い、何度も視線を移動させた。
「これは……一体?」
レイは図を指でなぞりながら説明を続けた。
「魔王は単なる存在ではなく、異世界を支配する膨大なプログラムのようなものなんだ。そのプログラムは自己修復と防御機能を備えていて、普通の攻撃ではビクともしない。だから、『ビジュアル・コード』を使って内部システムに侵入し、特定の条件を満たす必要がある」
「内部システムに……つまり、魔王のプログラムにアクセスして改変するってことですか?」
レイは満足そうに頷き、おっきーに薄い本を差し出した。「そうだ。この世界で言う『魔法』は、俺たちにとってはプログラムと同じようなものだ。君もビジュアルプログラミングの経験があると聞いたが、それが役に立つはずだ」
おっきーは少しずつこの戦いの意味を理解し始めた。魔王討伐のミッションとは、単に敵と剣を交える戦闘ではなく、プログラムの構造を解析し、適切な「ビジュアル・コード」を組んで魔王システムに潜入する頭脳戦なのだ。
「でも、どんなコードを書けばいいんでしょう?魔王のシステムって、どれくらい複雑なんですか?」
レイは険しい表情で低い声で答えた。「魔王システムは、何重にも防御ブロックが張り巡らされている。コードを間違えるとセキュリティが発動して、逆にこちらがダメージを受けることになる。そこが、このミッションの最も厄介なところだ」
「なるほど……つまり、システムの謎を解き明かす必要があるんですね」
レイは頷き、手元の小さな本をさらにおっきーに近づけた。「これが、我々が今までに解析してきた魔王システムの一部だ。重要な魔法ブロックの使い方や組み合わせ、注意すべきポイントが書かれている。この本を読んで、最初の簡単なミッションから取り組んでみるといい」
おっきーは慎重に本を受け取り、その表紙に書かれた「はじめてのビジュアル・コード入門」というタイトルをじっと見つめた。ページをめくると、色と形の異なるブロックの絵が並び、それぞれに「マナ」と呼ばれるエネルギーを使って発動する方法が書かれている。
「ありがとう、レイさん。この本を使って、少しずつやってみます」
レイは微笑み、肩を軽く叩いて部屋の奥へと戻っていった。
おっきーはその場でしっかりと本を抱きしめ、深呼吸をした。目の前のページには、「シンプルな攻撃魔法のブロック」や「防御のシールドブロック」などが丁寧に解説されており、少しずつ実践してみる勇気が湧いてきた。
こうしておっきーは、魔王討伐という大きな目標に向けて、第一歩を踏み出したのだった。