【番外編】願い事~バカンスシーズン(4)~
昼食は……食べ過ぎてしまったと思う。
せっかくの豪華客船の旅。
わざわざ肉料理をメインにする必要はない。
ここは海の幸を楽しもう!
そこでシーフードを楽しめるお店へ向かった。
特にエビが好き……というわけではなかったのですが。
巨大なオマールエビをグリルし、それをこの季節にピッタリなレモンソースでいただくと……。
お、美味しいではないですか!
しかも貝類は、前世であまり得意ではなかったものの。
シーフード料理に貝は欠かせない。
ということでムール貝のグラタンが登場した。
ところが食べてみてビックリ!
たっぷりのホワイトソースと濃厚なチーズにより、貝の独特の風味が気にならない。
添えられているパンと一緒にパクパクといけてしまう。
さらにカニの冷製ビスク。
通常は秋冬に楽しむスープが、夏に相応しくアレンジされて登場。
スープにトマトが加わり、さらにレモンを絞っていただくので、クリーミーなのにさっぱりしている。
他にも様々なシーフード料理が登場した結果。
たっぷり食べてしまった。
「メリディアナはシーフード料理が好きだったのですね」
「肉かシーフードかと問われたら、お肉が好きです。でもせっかくの船の旅。挑戦してみたら……このレストランのシーフード料理が最高だった!という感じです」
「なるほど。そして満腹になり、眠くなってきたのでは?」
まだ、眠くない。
さすがに。
でもこのままサンルームへ向かい、日向ぼっこをして、ポカポカになれば……。
絶対に眠くなると思う。
何よりも。
膝枕!!!!!
ならばここは頷くのでいいだろうと、私はコクコクと首を縦に振る。
「仕方ないですね。ではサンルームへ行きましょう」
なんだか口調は渋々なのに。
エリダヌスの口元はほころび、頬はうっすらと桜色。
膝枕をされる予定の私は。
ドキドキで嬉しくてたまらない。
膝枕をする予定のエリダヌスは……きっと楽しみなのね!
推しの少し照れ、でもそれをひた隠し、口元で笑みを浮かべる姿は……。
たまらない!
スマートにエスコートされ歩いているけれど。
もしここが前世なら、その腕に絡みついているところだ。
そんなこんなで到着したサンルーム。
「……広いですね」
推しが思わずそう言うぐらい、確かに広い!
想像よりもずっと広々としていた。
広さとしては……体育館ぐらいあると思う。
そこにカウチとサイドテーブル、観葉植物がセットで置かれている。
ミニヤシの木のような観葉植物は、なんというか、目隠しのようになっていた。
左側はサイドテーブルが、右側は観葉植物が目隠しになり、カウチで寛ぐ姿を見られないようにしてくれている……と思った。
「お席はご自由です。ですが必要があれば、ご案内いたします」
サンルームにもスタッフはいて、彼らに軽食や飲み物を注文できるようになっていた。
昼食の後なので、皆、コーヒーや紅茶を注文しているが、これがティータイムなら……。
ケーキや焼き菓子を注文し、陽射しを浴び、海を眺め、甘いものを楽しむのだろう。
「では婚約者と寛げる席に、案内してもらえるでしょうか」
「勿論でございます」
エリダヌスが極上の笑みで告げると、スタッフの女性は大喜びで席に案内してくれる。
そこは本来四人席なのだろうが、今は混雑していない。
二名利用でも通してくれた。
観葉植物が二か所に置かれ、目隠しもバッチリの席だった。
マルシクはカウチのそばに控えるが、観葉植物により、私の寝顔は見えないだろう。
「昼食を召し上がったばかりですか?」
スタッフが尋ねると、エリダヌスは美麗な笑顔を浮かべて即答する。
「ええ、そうなんです」
「ではレモン水をお持ちします。もしコーヒーや紅茶が欲しくなりましたら、いつでもお声を掛けてください」
「ありがとう」
できるスタッフの女性は、すぐにレモン水の入ったカラフェとグラスを、サイドテーブルに置いてくれる。
「では座りましょうか、メリディアナ」
いよいよ膝枕だわ……!
心臓がドクドクと言い出し、ぎこちなくカウチに座る。
先に座っているエリダヌスが脚を組む。
しみじみ思う。脚が長いなぁ~と。
「!」
ふわりと抱き寄せられ、アクアの香りがする。
船の旅で感じるアクアの香り。
とても素敵だった。
「寛げていますか?」
「そうですね。あれだけ沢山食べられたのは、寛いでいる証拠だと思います!」
「今は?」
「今は……エリダヌスに抱き寄せられているので、ドキドキしています」
素直に今の状況を伝えると、エリダヌスがぎゅっと私を抱きしめる。
「君は本当に。不意打ちでわたしの心を乱すのが、得意ですね」
「エリダヌスもドキドキしているのですか?」
「当然でしょう。愛する人を抱きしめているのに、冷静でいられるとでも?」
冷静ではいられないというエリダヌスの溺愛が始まり、私は失神寸前。
眠くなる……より、推しの溺愛により、ほぼ気絶状態で……膝枕をされることになった。
そして実際に膝枕をされると、溺愛から一転。
まるで飼い猫を愛でるように、優しく私の頭や髪を撫でてくれる。
それはまさに慈しむような愛情に満ち、私は完全にリラックスして……。
寝落ちすることになった。
しかし……!
お読みいただき、ありがとうございます!
次話は明日の12時頃の公開です~


















