一歩踏み出す
たったの一歩を踏み出せず
ずっと動かぬ爪先を
上から眺めて幾星霜
ぼくは夜明けを待っている
空は真っ黒で
すべてのものが塗りつぶされる
夢を見たぼくは
それを現実にしたくて
でも動き出せなくて
いつまでも同じ場所で
立ち尽くしてた
隣の足音が駆け出した
壁にぶつかって
跳ね返されて
スタートよりもっと遠くまで
引き戻されて
やり直し
斜め後ろから走り出す
動かないぼくを置いていく
またまた壁に阻まれて
もっと後ろから再トライ
ああ
きらきらしてるよ
何もしないぼくより
君はなんて
かっこいいんだろう
失敗なんて怖くない
それは君が
行動で教えてくれたこと
そう
怖いのは
何もしないで諦めること
危なかったぼくは
いつでも取り戻せることを知った
たったの一歩を踏み出して
すべてに勝ったつもりになる
分かってる
まだ道は始まったばかり
君がぶつかった壁も
まだまだ
はるか向こう
それでも一歩は進めたことを
褒めさせてくれよ
道は長いから
始めの一歩を踏み出した
すべての夢追い人に
おめでとう
ようやく夜が明けていく
薔薇色の空に
黄金色の光が差した




