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この幸せがあなたに届きますように 〜『空の子』様は年齢不詳〜  作者: ちくわぶ(まるどらむぎ)
998年目
72/196

43 対立の終わり ※レオン




 ※※※ レオン ※※※



「あの。あとひとつだけ。

王子妃様――シャナイア様によろしくお伝えください」


部屋を出ようとしたチヒロの言葉に、第2王子が怪訝な顔をした。


「何?……貴女が何故、私の妃を知っている。会ったこともないだろう」


「よくお会いしてました。《東の宮》の。王太子妃様のところで」


事もなげに言われて、第2王子は「……初耳だな」と呟いた。


僕も初耳だった。

エリサはチヒロに忠誠を誓った《チヒロの盾》だと宣言しているので、チヒロの行動の全てを僕に報告する義務はない。

チヒロはチヒロで僕と第2王子の仲に気付いていて、わざと言わなかったのだろう。


そう考えていたが違ったようだ。


「王太子妃様が内緒ねって」


その内緒をけろりと言ったチヒロを、エリサが一応といった様子で嗜める。


「言っちゃいましたよ。どうするんですか」


「大丈夫よ。王太子妃様、私の性格をよくご存知だもの。許してくださるわ」


「つまり内緒は無理って思われてるってわけですね。納得です」


小さく頬を膨らませたチヒロだったが「これ以上お邪魔してはダメです」とエリサに言われ、ジルを連れて執務室を後にした。



―――王太子妃様か……


僕ら王子達が個別に右往左往している間に、女性たちはしっかり王太子妃様によって結束していたようだ。


王太子妃様は、もしかしたら他にも味方を作っているのかもしれない。

いや。作っているだろう。

ご成婚されてから既に6年。あの方が何もしていなかったとは思えない。


幼い頃、まだご成婚前から王太子殿下と共によく僕を訪ねてこられた。


ああ、取り込みに来たのか、と思った。

まがりなりにも僕は第3王子だ。自分の側に取り込んでおいて損はない。

そう思われているんだろう。


いいさ、こちらとしても好都合だ。損はない。

取り込まれてやろうじゃないか。


そう思って冷めた目で見ていた。


けれど。


今、王太子妃様の話を笑ってしたチヒロを通すと違って思えてくる。


過去が変わる。


嬉しくなる。

次期王妃はあの方だ。


素晴らしい王妃になられるだろう。


前王妃は比べられ、また貶められるのかもしれない。

けれど、きっと前王妃はそれを嬉しいと笑うだろう。

仲が良かったという従妹姫いとこひめの躍進を喜ぶはずだ。


何故かそう思った。




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