12 万華鏡 ※チヒロ
※※※ チヒロ ※※※
「わかっていただけたようで何よりです」
にっこり笑ったセバス先生に、もう一つ聞いてみる。
「では、お金ではなく何か他のものでテオにお礼をしてもいいでしょうか?」
「すでにお菓子や洋服などで十分しているのでは?」
それは確かに渡している。
でも、お菓子は一緒に食べたいからだし、洋服はクルタを作ってもらったから着なくなった男の子服をあげただけだ。テオが私とサイズが一緒だったから。
だから違う、そうじゃなくて。
私は前から思っていた事を口にした。
「テオがやりたい事を学ばせてあげたいのです。
私が教えて貰っているような、この世界についての勉強でも。
私の頭の中にある物を具現化することでも。
テオが将来なりたいものがあるなら、そのための勉強でも」
セバス先生は少し考えてから言った。
「……テオは平民で使用人ですよ?」
私は首を捻る。
「関係ありますか?」
セバス先生は暫く私の顔を見てから
「貴女は身分に関係なく、人との距離がとても近いようだ」と言った。
私はそれを、テオにお礼をすることを許可してもらえたんだと取って嬉しくなった。
その時のセバス先生が笑っておらず、俯いていたのに気にしなかった。




