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この幸せがあなたに届きますように 〜『空の子』様は年齢不詳〜  作者: ちくわぶ(まるどらむぎ)
998年目
35/196

06 第2王子 ※チヒロ




 ※※※ チヒロ ※※※



「『空の子』殿」


聞き覚えのない声に、見れば少し離れたところに赤茶色の髪の男性がいた。

後ろには護衛が二人いる。


私の頭が、男性が誰なのかを導き出す前にエリサが言った。


「第2王子殿下」


エリサが頭を下げたので、私も慌てて続く。


今日、私がこうして散歩に出ているのは私が暮らしている《南の宮》と第2王子殿下の暮らす《西の宮》との中間にある庭だ。


お会いするのは不思議ではない。

でも、そういえば今まで全くお会いしたことがなかった。


それもそうだよね。レオンと同じ。王子殿下には執務がある。

王家の方々が暮らしている《宮殿》とはいえ散歩しているのなんて私くらいだ。


だから第2王子殿下と顔を合わせたのはこの国に来た時の謁見以来。

お顔を忘れてても仕方ないよね。


失礼にならない程度にお顔を見る。


―――あれ?


意外にも国王様とは似ていない気がした。

国王様の面影がある王太子殿下にはよく似ておられるのに、不思議な感じだ。


謁見の時にレオン以外――国王様と王太子殿下、第2王子殿下の三人には何というか一体感がある、と思えたのは王太子殿下の存在があったかららしい。


王太子殿下は国王様と第2王子殿下のどちらにも似ていらっしゃるのだ。


そのお兄様である王太子殿下に似ている第2王子殿下だけど、王太子殿下とは印象が随分違う。


髪色のせいかもしれない。

王太子殿下は薄い茶色で優しい印象なのに対し、第2王子殿下は赤茶色でなんとなくきつい印象を受けた。


その第2王子殿下が近づいて来られたので、思わずちょっと身構えてしまった。


そんな私に第2王子殿下は笑顔で言う。


「もっと早くご挨拶をと思っていたのですが。なかなか……」


「――いいえ。私こそ」


「どうですか、宮殿は。退屈なのではありませんか?」


「いえ、そんなことは」


………うーん。話が弾まない。


こういうの苦手なんだよね。

早く帰りたいなあ……。


そう思い始めた頃、第2王子殿下が言われた。


「『空の子』殿。私の《西の宮》に遊びに来られませんか?」



―――はい?


え、聞き間違い……じゃないよね?

いま私、《西の宮》に誘われた?


いやいやいやいや。


笑顔が固まった。

ひとまず…………ごまかそう。


「ありがとうございます。ですがレ……第3王子殿下を通していただけますか?

殿下には私の世話役をしていただいておりますので――」


「――そうおっしゃらずに」


おおーっと、被せるように返事がきた。


ええ〜?


―――何、この人。


私は困ってしまった。これ以上なんて言って断ればいいんだろう。

行くとは言えない。レオンには勝手に他の宮に行くことを許可されていないし。


そもそも、男性に誘われていいものだっけ?

確か駄目だよね?王太子妃様にそう教わったよね?


―――どうしよう……


助けを求めて横目でエリサを見た。のだが……


何と!!


エリサは第2王子殿下の護衛を睨みつけていた!


何故!?


エリサーーーっ!!


ええーーーーっ?!待って、待って、待って!


どうするこの状況!


第2王子殿下への返答と、豹変したエリサ。


どうすることも出来ず戸惑っていたら、後ろから足音がした。


第2王子殿下も気付いたらしく私の後ろへと顔を向ける。


振り返った私は、足音の主の顔を見て心底ホッとした。


「レオン」




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