01 新年 ※空
※※※ 空 ※※※
この国は新年と同時に国民全員がひとつ歳を取る。
年間を通じて比較的温暖なこの国だが、寒く、時に雪が降る季節もある。
その季節に年が変わる。
生まれてから初めて迎える新年で一歳になり。
生まれて二度目に迎える新年で二歳になる。
この国独自のそれは、子の年齢が数えやすいからだ。
生まれた日を忘れられる子も多いというのも理由のひとつである。
この国では養子も多い。
今年、チヒロはこの国で初めての新年を迎え、ひとつ歳をとった。
新年を迎えた日の朝。
珍しく積もった雪を踏みしめ、日が昇るのを宮の庭からエリサと見ていた。
「ハツヒノデは見るものなのよ」
と、エリサに言って。
前世を生きた国での風習らしい。
服も《キモノ》と言う、前世を生きた国の服を着ていた。
数枚を重ねて着るのでドレスより温かいというその服を着て
この世界にやってきた時に身につけていた布をストールがわりにしていた。
淡い空色のそれは、チヒロの白い肌や漆黒の髪にとても良く似合っていた。
昇ってきた朝日に顔を、髪を、全身を照らされるとチヒロは微笑んで。
両方の手を胸の前で合わせ、少し頭を下げて何か囁いた。
小さな囁きは風にさらわれ、誰の耳にも届くことはなかった。




