24 ジル ※エリサ
※※※ エリサ ※※※
「貴女はチヒロ様の護衛でしょう。何をやっているんですか」
「申し訳ありません」
「セバス先生、私が頼んだんです。エリサは悪くありません」
「護衛は頼まれても側を離れるべきではありません」
鍛え直す必要がありそうですね、とセバス様は言った。笑ってる。
でも目は笑ってない。怖い怖い怖い。背中に変な汗が流れた。
チヒロ様の授業のため、この部屋に向かっていたというセバス様は、私の絶叫を聞きつけ血相を変えて飛んできた。
そして現在。
私とチヒロ様は状況を把握したセバス様に立たされ叱られている。
セバス様は私の左横に立つチヒロ様に目を移した。
「チヒロ様。貴女も貴女です。エリサは貴女の護衛です。貴女を守るのが務めです。
わからないわけではないでしょう」
「ごめんなさい」とチヒロ様は頭を下げる。
ああ。チヒロ様に頭を下げさせてしまった。私、本当に何をやってるんだろう。
すいません、チヒロ様。
「しかも何故、窓を開けたのです。護衛がいない時に。迂闊な行為ですよ」
尚も続いたセバス様の追及に、チヒロ様の頭はますます下がった。
「ごめんなさい。影で、外にいるのが動物だとわかったから見たくて」
―――動物
「でもこんなに大きな犬で、部屋に飛び込んでくるとは思いませんでした」
チヒロ様は左横に座っていた、ご自分よりはるかに大きいジル殿を撫でながらえへへと無邪気に笑った。
―――犬
「犬」
セバス様が固まった。私もだけど。




