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この幸せがあなたに届きますように 〜『空の子』様は年齢不詳〜  作者: ちくわぶ(まるどらむぎ)
997年目
21/196

21 疑問 ※チヒロ




 ※※※ チヒロ ※※※



お茶会の支度で、お昼ご飯を食べ損ねた。

お茶会のケーキは美味しかったけど、ご飯は食べたかった。


ここの料理は毎日、万国博覧会だ。


歴代『空の子』の先輩たちは、皆さん前世の《私》がいた世界の、色々な国の出身者だったらしい。

建築や鍛治などの知識をこの国に持ち込んだだけでなく、どうやら同時に自国の食文化や雑貨なども伝えたみたいだ。


時が経ち今。

それは形を少し変えてしっかりとこの国独自の文化になっている。


特に食に関するものは多い。

やっぱり郷土料理は食べたかったんだろうな。


ケーキにパイ、餃子にシチュー、スパゲッティにパンなどなど。

あとカレー……の、変種には感激しました。

偉大な先輩たちよ!ありがとう!


私がこの世界。この国にきて早1ヶ月が経つ。


初めはどうなることかと思ったけど、意外とすんなり慣れた。


この世界は驚くほど前世の《私》がいた世界に似ているのだ。

まだ外に出ていないから、ほとんどが教えてもらったことと、本や図鑑で知ったことだけど。


とにかく2つの世界はまるで双子のようだった。


人間も動物も。

前世の《私》がいた世界のそれとは《国の違い》くらいの違いしかない。


人々の生活も、発展の差はあっても基本は同じ。


計算法や時間も同じだ。

前世の一時間が今世の一時間とぴったり同じかと聞かれたらわからないけど。

これは『空の子』の持ち込んだものなのかな。


そして何よりだったのは、この国の人たちが清潔好きだということだ。

これは嬉しかった。特にトイレやお風呂は綺麗な方がいいよね。


結局、大きな違いは私が初めに気付いた植物だけと言っても良かった。


―――植物だけは何故か大きく違う。


土に植え水と肥料をあげて育てること。

種、発芽、発育、光合成、花、受粉、結実などの生態。


そういった基本的なことは同じらしい。

が、姿形、種類は似てはいるけど、まるで違う。


その植物を使って、この国は薬を作っているという。


軽い病や怪我の薬など民間で作っている薬もあれば地方ごとに独自の薬もある。

が、それ以外に国が管理して国全体に流通させている薬もあるそうだ。


国が管理している薬は王宮医師の処方で作られており効果が保証されている。

セバス先生に聞いた。


薬は殆どが瓶に入った液体で、どれもだいたい即効性だとも言ってた。


興味持たない方がおかしいよね!


王宮は王宮でも、南の宮がある《宮殿》じゃあなくて、執務や行事を行う

《中央》の医局にあるらしい。


医局に行ってみたい。

薬自体も見てみたいけど、どうやって作られているのかも見たい。

この国のお医者様がどんな治療をしてるのかも知りたいし。


けれどセバス先生に「行ってみたいです」と言ったら即・だめですと返された。

まあそうだよね。

セバス先生が許可してくれるはずがない。私の世話役はレオンだもの。

レオンに頼まなきゃ。すぐはダメだろうけど、いつか絶対見せてもらおう!


それにしても、外廊下とはいえ外を歩くのは気持ち良かった。空気も美味しい。

やっぱり外はいいな。


レオンもいい加減、散歩くらい許してくれないかな。

部屋に閉じ込められて、もうひと月だよ?


いくら私が『空の子』→宇宙人でも、ここまでの隔離は大袈裟すぎでしょう。


……何をそんなに心配しているんだろう。私がそんなに危険人物に見える?


エリサもちょっと疑問に思ってるみたいだった。

今日、シンに聞いてみれば良かったかな。


あ、そういえば。

この国の料理に、前世の《私》がいた国の料理らしきものは見ていない。

この国の人にはあの、小さな国の料理は受け入れられなかった?それとも。


『ソウマ・シン』さんは、《自分》がいた国の料理に興味がなかったのかな。



前世、私と同じ国に生き、私より何百年も前にこの国に来た『空の子』。


『ソウマ・シン』さんはこの国に《何を》伝えたんだろう。

この国で、どんな生活を送っていたんだろう。


見たい。知りたい。あの小さな国の、何か独自のものを伝えたんだろうか。

住んでいた場所は?子孫はいるのかな。

うずうずする。ああ、早く知りたい。


でも『空の子』の記録を見る許可がまだおりてないってレオンが言ってた。

そんなに重要な記録なんだ。『空の子』の記録って。

国家機密にしなきゃいけないことを伝えた『空の子』でもいるのかな。


仕方ないって我慢してるけど。せめて『ソウマ・シン』さんの記録だけでいいから見たい。

もう一度頼んでみようかな。


ああ、考えてたらお腹がすいた。


前世の大人だった記憶があるといっても、この身体は10歳の育ち盛りなのだ。

うう。晩ご飯まで我慢できない。アイシャに頼もう。


「アイシャ。私、ちょっとお腹が空いちゃった。みんなでお茶にしない?」


アイシャではなく、エリサから大声で返事が来た。


「やった!待ってましたーーー!」


エリサは今日も元気だ。




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