19 面会 ※レオン
※※※ レオン ※※※
一人廊下を行く。
夕方、取り次ぎを頼んだらすぐに夜遅くなら構わないと返事が来た。
珍しい。
僕を北の宮に。しかも私室に招くなど、初めてじゃないのか。
いつもなら最低限、それも政務時間中に大勢の前でしか会わないくせに。
用件に心当たりがある証拠だと思うと腹立たしい。こんな時ばかり。
構わなければいい。
見るのも嫌なのだろう。
なら放っておけばいいではないか。
それを
何故、手を出してくる―――
襟を正してノックする。入れと返事が来てドアを開ける。
私室はさすがに豪華だが、思っていたほどでもなかった。
と、言うより色調のせいかもしれない。
南の宮の内装は淡い黄色を基調とされているが、ここ北の宮の内装は青と金を基調にされている。
その上、遅い時間だ。ランプの灯りは暗い。
そんな中。
「どうした。珍しいな。お前が面会を求めるなど」
鷹揚にソファーにでもかけているだろうと思った相手は、ただ立っていた。
すでにガウン姿だ。
用件だけ言って早く出ていけと言うことか。
いいさ、こちらもそのつもりだ。
自然に声が冷えた。
「――近衛隊長を、東の宮で行われたお茶会の警護にあたらせたそうですね。
それほど気になることでもありましたか?」
「なんのことだ」
「……ご存知なかったのならいいのです」
「それだけか?」
「はい」
想像した通りの返事だ。
眉ひとつ動かさない。当然か。
15年間、僕を見るこの男の顔はいつもこの表情だ。
どうでもいい。
目的は釘を刺すことだ。
「ご存知なかったのならいいのですが。
折角こうして時間をいただいたので、ひとつだけよろしいでしょうか」
「何だ」
息を吸う。
「――あれは私のものだ」
「――」
返事はない。無視はさせない。
もう一度、ゆっくりと宣言する。
「あれは私のものだ。手を出さないでいただきたい」
そう。忘れるな。
まっすぐ顔を見せてやる。
この世で一番嫌な顔だろう。
覚えておけ。忘れるな。あれは僕のものだ。お前には渡さない。手を出すな。
そして。
お前がかつて強引に手に入れた少女がどうなったかを。決して忘れるな―――
そう念押しするための顔。
ドアの前で一礼して部屋を出る。
早足にならないよう気をつけながら、僕は来た道を戻った。




