第33話 中島義行・前編
グレッドは丁寧に話し始めた。
「ああ、先ず君につけた首輪についてだが……。二つの意味を持っている」
「二つの……意味……? 裏切ったら爆発するとか……ですか?」
「勿論、ソレもある。なに、簡単な事さ。君が我々を裏切ったと私が判断したら、とあるスイッチを押す。その首輪は作動し、君は無事では済まされないだろう。君が我々に対して友好的であるならば、その首輪はただの首輪さ。そして、もう一つの意味についてを話すその前に――」
「先ずは我々が何者かという点について、知ってもらおうか……。中島君は、我々が何なのか、アーセルから聞いたりしているかね?」
む……。その事に関しては特別知らされていない。褪元さんも、このグレッドという男達の事に関しては教えて貰っていない。情報の秘匿という事だったので、その時は詳しいことは聞かなかったが、まさかこんな事になるとは……。
「いや、分からなっ――、分かりません」
「ふふっ。ま、そう畏まらなくてもよい。部下になれとは言ったが、そういった礼式的な事までは求めないからな。こちらとしては、中島君がいればそれだけでよい。それについてもこれから説明するが」
――。
私は黙ってグレッドの説明を聞く。
「さて、私たちが異世界人という事は分かると思うので説明は省かせてもらおう。私たちは、プソ共和国の軍部に所属する部隊、フレール隊。言わば軍人だ。この世界に来た目的は、とある異物を探しての事だ」
やはり、そうか――。褪元さんも異物を探していると言っていたし、グレッドたちと褪元さんは敵対関係にあるというのは、襲撃されたことやらでハッキリしている。それに関しては間違いは無いだろう。
「端的に言えば、その異物はアーセルが持っていると私たちは確信している。中島君。我々はね。その異物が欲しいだけなのだよ。それさえ手に入れば、私たちは自分たちの世界に帰ることができる。君を連れてね」
俺を連れて……?
「なぜ、俺を異世界に?」
私はグレッドへ疑問を投げかける。
「君は我々の仲間になったのだから当然だろう? 先ほども話した通り、我々は異物を手に入れるためだけにこの世界にやってきたのだ。ま、君のような人間が現れた事自体、我々にとっては嬉しい誤算でもある訳だが」
誤算???
「何のことを言って――」
まさか――。
「君は、カルマの使い手だろう」
!
「な――」
ガタッという音がした。私が勢いで椅子から立ち上がった音だった。
「何故カルマを知っているのか? とでも言いたげな顔だが、答えは単純だ」
グレッドがそう言うと同時に、部屋の隅に立っていたサロスを手招きする。コツコツと足音をたてながら歩くサロスの足音は、私の思考が停止した頭に酷く響いていた。グレッドの横に立ち、変わらぬ表情のまま、こちらを睨みつけている。
そして……、次にグレッドが口から出した言葉が私を驚愕させた。
「サロス。彼もカルマの使い手だからだ」
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